松坂大輔に「完全に完敗、何をしても勝てない」 久保康友が23年前に確信した凄み

兵庫ブレイバーズの入団会見に臨んだ久保康友(右)【写真:橋本健吾】

1998年の選抜決勝で対戦「どうやったら彼みたいな選手を崩せるのか」

ロッテ、阪神、DeNAでプレーしNPB通算97勝をマークした久保康友投手が2日、さわかみ関西独立リーグ「兵庫ブレイバーズ」への入団会見を行った。2年のブランクを経て再びマウンドに上がる決断をした右腕は世代を牽引してきた西武・松坂大輔投手への思い、甲子園決勝戦での秘話を明かした。

2021年シーズンは同世代を牽引してきた西武の松坂が現役引退。“松坂世代”としてプロ野球でしのぎを削ってきた右腕は「僕も松坂世代で恩恵を受けてプレーしていた。彼がいなくなることで自分らの世代の代名詞がなくなる。今後そういう意味では自分がしっかりしないといけない」と感謝の思いを語った。

1998年の選抜決勝では関大一のエースとして松坂を擁する横浜と対戦し敗戦。圧倒的な投球を見せていた松坂を何とか崩そうとマウンドですれ違った際に声をかけたが涼しい顔で軽く流されたという。

「あの当時から技術以外でメンタルを壊したり、崩したりをやっていた。無理に声をかけて相手のペース乱すことを。でも、軽く流して、あしらわれた(笑)」

プロでは多彩な変化球と制球力、打者のタイミングを外すクイックなど頭を使った投球で「投げる哲学者」とも言われた久保。“平成の怪物”を崩すためにあらゆる知恵を絞って立ち向かったが通用しなかった。

「良いピッチャーもいるが、意外と色んなところから攻めると自分の力を出しきれない選手もたくさんいる。タイムを取ったりするだけでもコントロールが悪くなったり。でも彼にはそれが全然、当てはまらなかった。どうやったら彼みたいな選手を崩せるのかと思っていたが完全に完敗でした。何をしても勝てないなと」

この日は早速ブルペン入りし64球を投げ込んだ。まだ体は完全に仕上がっていないが来春のリーグ開幕に向け準備を進め、コロナ禍が収まれば再び海外でのプレーを視野に入れている。「出来る限り現役に近い形に戻して、また海外でやりたいなと思っています。若い選手とも刺激し合っていけたらいければ」。衰えを知らない探求心を持つ男はまだまだマウンドに立ち続ける。(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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