“南北関係回復、最後の機会”、市民たちが訴え 任期満了まで半年を切った文在寅政権の選択

来年5月の文在寅政権の任期満了まで半年を切った。3月の大統領選挙に向けて、与野党候補の論戦が本格化する中、文政権への失望から政権交代への世論も少なくない。

今後の北南関係の行方を左右する大統領選挙を前に、南の市民社会は文政権の下での「南北関係回復の最後の機会」として文政権に北南合意の履行を強く訴えている。

68の市民団体が青瓦台前で宣言履行を訴えた。

 米の不当な干渉糾弾

 「文在寅政府に与えられた南北関係回復の最後の機会を必ず生かさなければならない」

南朝鮮と海外の68の市民団体、200余人は11月17日、青瓦台噴水前で特別声明を発表し、文政権が残りの任期中に北南関係改善に努めるよう求めた。

 特別声明は、「通信連絡線が復元され、南北関係改善の新たな契機がもたらされたにも関わらず、全民族が支持し、待ち望む道に進まず、米国の顔色だけをうかがって迂回路探しに陥っている」と文政権を非難。「合同軍事演習の中止など敵対関係を解消する措置から実行すべきだ」とし、「米国が決断しない問題にいつまでもしがみついて時間を浪費するのではなく、南北合意を履行する道に進むべき」と訴えた。

 席上、「キャンドル前進準備委員会」のクォン・オヒョク政策委員長は、北南宣言の国会批准を訴えた。「宣言を国会で批准すれば、南北関係を妨げるすべての動きを合法的に批判することができ、宣言を実践するすべての行為が法的に保障される」と説明した。

 同18日は南朝鮮市民の金剛山観光事業開始から23年にあたる日だった。同日午後、「金剛山平和つなぎ」「2021平和統一市民会議」の二つの市民団体は、「また行こう金剛山へ、米国は南北問題から手を引け」というスローガンを掲げて光化門広場で記者会見を開き、金剛山観光事業の再開を訴えた。

 参加者らは「文政権は板門店宣言と9月平壌共同宣言で合意した民族自主の原則に立ち戻るべきだ」と指摘。「南北は朝鮮半島の平和と繁栄の絶対的な当事者であり、いかなる国も民族もこれを代わることはできない。

金剛山観光再開を求めて、北南を分かつ鉄条網を突き破るパフォーマンス

 1998年に始まった金剛山の観光事業では、延べ193万人以上の南の観光客が訪れて名山を堪能し、民族の誇りを共有してきた。李明博政権下の2008年に中断され、今年で13年になる。開城工業地区の再稼働とともに9月平壌共同宣言で北南がその再開を合意したにもかかわらず、米国の圧力、南朝鮮政府の不作為により現在も実現していない。

 記者会見で参加者らは、「文政府は南北宣言実現のための誠意ある措置を講じると同時に、危機に瀕した金剛山観光再開を提起すべきだ。民族の和解と繁栄のための金剛山観光再開に対し米国はいかなる不当な干渉もしてはならない。文政権は金剛山観光再開に対するキャンドル民衆の声を無視するのであれば、民心に反する政権、南北対決の政権としての審判を免れない」と警告した。

 文化祭や学術行事も

 南の市民社会ではまた、文化祭やシンポジウムなど多彩な行事を通じて北南関係改善の意思を示している。

 6・15共同宣言実践南側委員会大田本部は11月16日、大田基督教連合奉仕会館で平和統一文化祭をオン・オフラインのハイブリッドで開催し、小学生や青年たちの歌、ダンス、詩の朗読などで北南和解への願いを伝えた。

 多文化家庭の小学生で構成される「レインボー芸術団」はオリジナル曲「非武装地帯の夢」「統一へ向かおう」をかわいらしい踊りとともに披露。大田平和合唱団の統一メドレー「つないだ手、もう二度と」、大田青年歌の会「ノル」の合唱「行こう、統一の道」「白頭山に登って」などがステージに上がった。

6・15大田本部が主催した文化祭で児童らが歌と踊りを披露している

 同18日には、北南の保健医療協力をテーマにしたシンポジウムが国会議員会館で行われた。

 シンポジウムのテーマは「新型コロナ対応のための南北保健医療協力」。対北協力民間団体協議会や共に民主党議員などが共催し、医科大学の教授や南北民間交流団体の代表などが登壇。

シンポジウムは、新型コロナの世界的流行により北側の国境封鎖が長期化する中、軍事境界線を隔てて接する南北が共同で伝染病に対する協力体系を構築し、朝鮮半島のすべての住民の安全と健康を守る必要性を広く周知させる目的で開催された。

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