京都市は11月26日、市有地8カ所を来年2月に行う一般競争入札で売却すると発表した。市中央食肉市場(南区)の再整備に伴って発生した余剰地などで、予定価格は最大で約10億円に上る。昨年の入札では予定価格の3倍に当たる約30億円で売れたケースもあり、財政難の市は高値での売却に期待を寄せる。
中央食肉市場は2015年に再整備が始まり、昨年3月に完了した。施設を集約化したことで約6900平方メートルの土地が余ったため、売却を決めた。現在は更地で、不動産鑑定士の鑑定などを基に予定価格を10億8千万円に設定した。
その他の物件は、今年3月に大宮交通公園内に移転した北消防署の跡地(北区、予定価格4億7900万円)▽19年3月末に廃止した魚アラの再資源化施設「魚アラリサイクルセンター」(伏見区、同2億7010万円)▽各種文書や防災物品の倉庫として使用していた「物品センター」(伏見区、同2億1410万円)―などだ。
昨年2月の入札では、上下水道局が所有していた伏見区の土地約1万平方メートルが予定価格(9億8300万円)の約3倍となる30億200万円で落札された。国道1号や名神高速道路に近い立地の良さや、市内でまとまった土地が売りに出るのは珍しいことから、7社が競合した結果、東京の不動産会社が購入した。
市は今年8月に策定した行財政改革計画で22~25年度の4年間で市有地の売却や貸し付けによって100億円の財源を捻出すると掲げた。16年度に設定した「5年で100億円」(20年度に達成)よりもさらに高い目標となる。市資産イノベーション推進室は今回の入札について「少しでも収入を確保するため、より多くの方に参加していただきたい」と期待を寄せる。
ただ思惑通りにいくかは分からない。
売却予定物件の一つ、鷹峯市営住宅跡地(北区、予定価格4億3890万円)は昨年も入札にかけたが、手を挙げる事業者が1社もなく不調に終わった。地元の人口減少を食い止めるため、用途をファミリー世帯向けマンションに限定したことが一因だったとされ、市は今回戸建て住宅も認めて条件を緩和した。
また市は3月に二酸化炭素排出量の実質ゼロを掲げた地球温暖化対策計画を策定したことなどを受けて、三宅第一市営住宅跡地(左京区、同3億9830万円)の用途に、電気やガスなどのエネルギー収支が実質ゼロになる「ゼロエネルギーハウス(ZEH)」を設定したが、事業者から見ると応札のハードルが上がったとも言える。
市が今後、売却を検討する未利用の市有地は50カ所。この中には、焼却炉が残る東部クリーンセンター(伏見区)のように既存建物の撤去に多額の費用が必要など、活用が困難が難しそうな土地も目立つ。同室は「そのまま売れる土地は限られてきたが、施設の統廃合や移転で土地をさらに売り出していきたい」としている。
■京都市が一般競争入札で売却する市有地一覧と予定価格
旧北消防署 (北区) 4億7900万円
旧魚アラリサイクルセンター(伏見区) 2億7010万円
旧物品センター (伏見区) 2億1410万円
旧深草公設小売市場 (伏見区) 1億3330万円
中央食肉市場の余剰地 (南区) 10億8000万円
旧鷹峯市営住宅 (北区) 4億3890万円
旧三宅第一市営住宅 (左京区) 3億9830万円
旧深草紺屋町運河用地 (伏見区) 7180万円