DaVinci Resolve Studio事例:ドキュメンタリー作品「Not Going Quietly」の場合

Blackmagic Designの発表によると、ニューヨークのポストプロダクション会社であるIrving HarveyがDaVinci Resolve Studioを使用して、受賞歴のあるドキュメンタリー「Not Going Quietly」のグレーディングを行ったという。同ソフトウェアに搭載されたリアルタイムのコラボレーションツールは、カラリストのサミュエル・ガースキー氏が同作をリモートでグレーディングする上で役立ったという。

ニコラス・ブルックマン氏がディレクターを務めた同作は、父親であり、リベラル派の活動家であるアディ・バーカン氏が筋萎縮性側索硬化症(ALS)と診断された後の波乱に満ちた日々の様子を捉えた作品。権威ある上院議員と飛行機で偶然出会った際に、痛烈な主張を突きつけたことで一躍有名になったバーカン氏は、医療制度改革のためのキャンペーンに着手する。プロデューサーにアマンダ・ロディ氏、製作責任者にマーク・デュプラス氏、ジェイ・デュプラス氏、ブラッドリー・ウィトフォード氏を迎えた同作は、2021年のサウス・バイ・サウスウエスト映画祭で「Special Jury Recognition for Humanity in Social Action(人々に利益をもたらす社会運動に対する審査員特別賞)」を受賞した。また、2021年のInternational Documentary Associationの長編作に対する賞において最終選考まで勝ち残り、Critics' Choice Documentary Awardsの2つの賞にもノミネートされた。同作はGreenwich Entertainmentにより8月13日に劇場公開され、現在Apple TV、iTunes、Amazon Prime Videoなどの主要なデジタルプラットフォームで配信されている。

ガースキー氏とIrving Harveyのスタッフは、同作のグレーディングを行う上でリモートのセットアップを使用することに決めた。DaVinci Resolve Studioのコラボレーション機能を活用することで、同氏は自宅から作業を続けることができたという。また、同作のエディターには同じ有機ELディスプレイのモニター、DeckLink Mini Monitorキャプチャー・再生カード、DaVinci Resolve Studioが支給されたため、リアルタイムでのリモートコラボレーションを行うことができたという。

ガースキー氏:DaVinci Resolve Studioのコラボレーション機能を使用して、二人とも同じモデルのモニターで映像を確認しながら、その場で内容をチェックし、必要に応じて変更を適用しました。小さなディテールでも逃さずに精査するためには、私たち両方が最高品質のイメージを見ながらチェックすることは非常に重要でした。

このセットアップでは、一緒に確認しながら微調整をするために、様々なグレードのビフォー&アフターをライブで簡単にチェックすることができたので、互いに別の場所で作業しているにも関わらず、共同で作業をしている感覚が非常に強く得られました。

スタジオで、流れに応じて、色々と試しながら作業をするのに慣れていましたが、コラボレーション機能では、実際に同じ部屋で作業することができない状況で、安全を保ちながら、それと同じような感覚を得ることができました。

様々なカメラで撮影され、アーカイブのフォーマットを用いるこの種のドキュメンタリーでは、一貫したルック、そして何より特定の空気感を生み出すために、グレーディングで試行錯誤する必要が多々あるという。DaVinci Resolve StudioおよびDaVinci Resolve Mini Panelを使用することで、多数のグレードをすばやく試すことができたと同氏は語る。

DaVinci Resolve Studioのカラースペース変換ツールは、多様なフォーマットで統一性を得るために欠かせない機能でした。これにより多くの時間を節約できたので、グレーディングの他の面に集中して作業でき、一貫した空気感を作成することができました。

DaVinci Resolve Studioは、長年使用してきているグレーディングツールですが、このプロジェクトでは、リアルタイムでのリモートコラボレーション機能に本当に助けられました。本作は変更が多い作品でしたが、新しいリモートワークフローに移行しながらでも、すばやく応じることができ、新しい公開予定日にも間に合わせることができ、また今まで扱ったことのない納品用ファイルにも対応できました。アディの物語は世の中の人々に知ってもらうべきものであり、私たちにとって、その一翼を担うのは重要なことでした。そういった点で、DaVinci Resolve Studioを今までとは異なる方法で使用し、本作を完成させることができたのは非常に喜ばしいことです。

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