旧石器時代の料理を現代風にアレンジ 埼玉・所沢の角川武蔵野ミュージアム【にっぽん食べ歩き】

「ジビエ・本州鹿と所沢三富野菜のワイルド石蒸し焼き」

 後期旧石器時代に当たる3万年前から使われていたとみられる食材を現代風にアレンジした料理を角川武蔵野ミュージアム(埼玉県所沢市)のレストラン「SACULA DINER」が提供している。(共同通信=中村彰)

 ミュージアムが位置する武蔵野台地では、古くから農業が盛んで豊かな食文化を作り上げてきた。江戸時代から伝わる、落葉の堆肥を使った無農薬農法で作った作物は「三富(さんとめ)野菜」と呼ばれる。

「三富」とは所沢、川越、狭山、ふじみ野の各市と三芳町にまたがる地域名で、味が濃く、みずみずしい野菜は今もブランド価値を保っている。

 埼玉県産銘柄肉「香り豚」と三富野菜を使った「ワイルド石蒸し焼き定食」(2200円)は肉も野菜もボリューム満点。シンプルに蒸し焼きにしたことで、素材のうま味がしっかりと閉じ込められている。

 ご飯は埼玉県産二十一穀米で、かむほどに味わいが増す。海なし県の埼玉だが、太古の昔には海があったことから、シジミのすまし汁が付く。シンプルな塩味でショウガが良いアクセントだ。

「ワイルド石蒸し焼き定食」

 「ジビエ・本州鹿と所沢三富野菜のワイルド石蒸し焼き」(4500円)には鹿肉とサツマイモなど具材の塊がゴロゴロ。鹿肉にナイフを入れると、ミディアムに焼かれた鮮やかなピンク色が目に飛び込む。「大地の恵み」をかみしめ、歴史に思いをはせながら2~3人で楽しむことができる。

角川武蔵野ミュージアム

 これらの料理は展覧会「武蔵野3万年のレシピ」に合わせて提供されている。展覧会では、旧石器人が調理に使ったとみられる赤く焼けた石や、これまでに出土した深鉢、皿などの土器、石おののほか、食用にされたヤマトシジミ、ハマグリなどの貝殻、木の実類、イノシシ、鹿の骨などを展示。木の実のクッキー、季節の素材の石蒸し焼き、貝スープなど武蔵野台地に伝わる料理のレシピを紹介している。

 会期は2022年2月13日まで。

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