「つみたてNISA」投資信託の選び方、先進国株式はどんな商品?全世界株式とどっちが良い?

投資信託はさまざまな株をまとめて購入できる便利な金融商品ですが、その分ざっくりとして「自分が何に投資をしているのか」が分からなくなることがあります。長期投資では投資対象が上がったり下がったりするので、しっかりと保持するためにも、自分が何に投資をしているのかを理解することが重要です。

世界の株式は大きく2つにわかれます。先進国株式と新興国株式です。先進国の株式は、日本と日本以外の先進国にわける場合や、北米とヨーロッパを分けて整理することもあります。

全世界の株式時価総額は、2021年10月時点で約69.8兆ドルと言われています。その内訳をみていくと、先進国(日本含む)が62.7兆ドル、新興国が7.2兆ドルで、世界の時価総額のほとんどが先進国です。

今回は「先進国株式インデックスファンド」について解説します。前回紹介した「全世界株式インデックスファンド」とどちらがいいのか悩んでいる人は、ぜひ参考にしてみてください。


「先進国株式インデックス」の代表的銘柄3選

今回は、3つの投資信託をピックアップして検証します。いずれも、つみたてNISAに選ばれており、純資産総額が多く、信託報酬がすくない銘柄です。

1) eMAXIS Slim先進国株式インデックス

2021年10月末時点で2,837.50億円の純資産額があり非常に人気があります。年率0.1023%と信託報酬も非常に安いのが特徴です。

MSCIコクサイ ・インデックス(配当込み、円換算ベース)をベンチマークとし、同指数と連動する投資成果をめざした運用を行っています。設定日は2017年02月27日です。

2) ニッセイ 外国株式インデックスファンド

信託報酬は年率0.1023%とeMAXIS Slim先進国株式インデックス同様で非常に低いのが特徴です。また、外国株式という名称ですが、新興国は含まれず、eMAXIS Slim先進国株式インデックス同様に日本を除く世界主要先進国の株式に投資しています。

MSCIコクサイ・インデックス(配当込み、円換算ベース)に連動する投資成果をめざす点もeMAXIS Slim先進国株式インデックスと同様ですが、設定日は2013年12月10日で、長年の実績があるため純資産額は3,628.42億円です。

3) SBI・先進国株式インデックス・ファンド

こちらは日本を含む先進国株式へ投資を行うファンドで、FTSEディべロップド・オールキャップ・インデックス(円換算ベース)と連動した運用を目指しています。純資産額は82.93億円と、前述の2つと比べると小さくなっています。設定日は2018年01月12日で、信託報酬は0.1%です。

主要2つのベンチマーク、何が違う?

先進国株式インデックスファンドの多くが採用しているベンチマークは以下の2つの指数です。

A) MSCIコクサイ ・インデックス(配当込み、円換算ベース)

米国のMSCI社(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル社)が提供する株式インデックスシリーズの中でも、日本以外の先進国22カ国に上場する大型株・中型株を構成銘柄の対象にしたものです。

2021年10月末時点での過去のパフォーマンス実績は、1年でのリターンは54.7%、10年の平均リターンは17.5%、30年では9.3%です。

B) FTSEディべロップド・オールキャップ・インデックス(円換算ベース)

FTSE インターナショナルは、イギリスのロンドン証券取引所が出資している独立企業です。株式指数の算出や、関連する金融データを提供しています。FTSEディべロップド・オールキャップ・インデックス(円換算ベース)は先進国株式市場の動向を表す指数で、アメリカや日本、欧州など20カ国以上をカバーしています。

2つ指標の大きな違いは、日本を投資対象に含むか含まないかです。資産のポートフォリオを組む際、日本に住む私たちの資産は、現金を中心に日本の円で構成されることが多いです。あえて日本を省いた投資信託を用いることで、すでに持っている日本の資産とバランスを取る上では有用になるでしょう。

また、FTSEディベロップド・オールキャップ・インデックスは投資対象が小型株まで含んでいるため、構成銘柄数が5,000銘柄以上と多くなっています。投資対象国が24カ国とMSCIコクサイより2カ国多く、特に韓国を含んでいます。

どちらの指標も時価総額加重平均であるため、組入銘柄をみると、世界経済を牽引するアメリカのグローバル企業が上位を独占しています。アップルやマイクロソフト、アマゾン、Meta(旧:Facebook)など、GAFAMを代表としたの有名ハイテク企業が名を連ねています。また、全世界株式インデックスとの違いは、新興国を含まないことですが、新興国の時価総額はそれほど大きくないため指数の推移としてはかなり似た動きをします。

「先進国株式ファンド」を選ぶメリット

全世界に分散投資をする手段の1つとして、「全世界株式インデックスファンド」を以前の記事で紹介しました。しかし、あえて日本、先進国、新興国とアセットクラスをわけて持つこともできます。運用ファンドを売却するときに全世界を一斉に売るわけではなく、成績の良いアセットクラスだけを売却し、リターンが悪いものを売却しないでホールドすることもできるのです。

全世界株式ファンド1つで持つか、それとも、先進国、新興国、そして日本をそれぞれ別のファンドで持つか。どちらでも全世界に分散投資をすることができます。自身の投資スタンスや見直し頻度に応じて決めるとよいでしょう。

さらに、先進国を全世界の時価総額に対する内訳をエリアごとに分けると、北米が61.9%、ヨーロッパが16.8%、日本を含むアジア・パシフィックで11%です。米国の割合が多いことがわかります。次回以降で、米国の投資信託や日本、新興国の投資信託についても一緒に考えていきます。

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