徹底解説! 九州地方の検測車

こんにちは!今回の記事は九州大学鉄道研究同好会より、九州を走る検測車に迫ります!

1.マヤ34形

国鉄時代に製造され、唯一、JR九州が自社で保有している軌道検測専用車です。

同型車がJRグループ各地にいましたが、新型検測車の製造で廃車が進み、現在は九州の1両(2009)のみが残っている非常に貴重な車両となっています。最近、建築限界支障判定装置というものを取りつけたそうです(写真は取り付け前の撮影です)

マヤ34形(熊本駅にて撮影)

走行時はDE10形の牽引、または前後とも連結したプッシュプルで走行します。かつてはキハ47を連結して検測していた路線もあったとか・・・?

検測中の様子(九大学研都市駅で撮影)## 2.キヤ141系

JR西日本製造、保有の通信、軌道検測車です。「ドクターWEST」の愛称で呼ばれています。言うなれば在来線版ドクターイエローですね。

JR 西日本のエリアをはじめ九州、四国や一部第三セクター鉄道も走行することがあり、非常に走行範囲が広いのが特徴となっています。

キヤ141系(箱崎駅にて撮影)## 3.クモヤ443系(引退済み)

こちらは国鉄時代に製造され、JR西日本が保有していた架線検測車です。顔の形がかつて九州を走っていた485系に似ていますね。キヤ141形同様、JR西日本、四国、九州、第三セクター鉄道と広範囲を走っていました。

クモヤ443形(姪浜駅にて撮影)

※クモヤ443は今年の7月に行った九州での検測を最後に引退。後継車としてDEC741系が製造されています。こちらも九州に来ることが発表されてるので、運用開始したら見に行きたいところです。

長年の活躍お疲れ様でした!

筑肥線検測時は他のJR路線と架線がつながっていないので、DE10牽引で送り込み回送が行われていました(唐津駅にて撮影)## 4.811系 RED EYE

JR九州が811系のリニューアル時に2編成(PM7609、8105編成)を追加改造したものです。列車巡視支援システムを導入し、先頭部のカメラ等により、列車動揺の確認や支障物の有無など、線路の沿線環境の状態を国内で初めて自動判定する機能を備えています。

さらに1編成(PM8105)には電車線路モニタリング装置もついていて、国内初の車上4Kカメラ(屋根上搭載)により、徒歩による地上からの目視検査を、走行時の動画データを係員が事務所で確認する検査に置き換えることで、電車線路設備検査業務の一部省力化を実現し、線路近接作業の頻度を減らすことにより、検査係員の安全性向上につなぐそうです(※)

通常は他の811系と共通で営業運転に使用され、時折検測のため811系の定期運用範囲外のエリアへも乗り入れます。入線実績のない豊肥本線などでも走った実績があるそうです。

見かけたらラッキーと思っていいでしょう!

811系 RED EYE(PM7609編成、博多駅にて撮影) CTマークが赤いのが特徴

このほか、787系の4両編成のうち一部編成(Bo6101、6104、6106)にも検測装置が付いており、該当車両は6000番台を名乗っています。なおこちらは外見上の違いはありません。

5.800系1000番台、2000番台

ところで、九州新幹線の検測はどうしてるのでしょうか?

実は、800系の一部編成(2009年以降に追加製造した編成)に検測装置を搭載し、検測を行うシステムになっています。(1000番台のU007編成,U009編成が軌道検測、2000番台のU008編成が電力、信号、通信の検測機器を搭載可能)なお、常時搭載しているわけではなく、検測を実施する際のみ機器を搭載する仕組みになっており、通常は他の車両と同じ営業運転に使用されています。このため、九州新幹線にはドクターイエローは入線しません。

検測装置を搭載できる800系(熊本駅にて撮影)## 6.西鉄 911編成

この車両だけ、西日本鉄道を走る車両です。

もとは5000形(5123編成)として天神大牟田線で営業運転に使用されていた車両を改造し、脱線事故などの際の救援車として使用されるほか、架線の検測機能も備えていることからここで紹介しました。車体が黄色一色なのが特徴で、西鉄のドクターイエローとも言えますね。

なお、検測は夜間に行うのが基本のようで、明るい時間に本線上で見ることが非常に難しい車両です。

西鉄911編成(筑紫車両基地留置中)

このように、九州の検測車は営業車両を改造したものが多いことが特徴と言えます。

今回の記事は以上です。また次の記事もお楽しみに!

参考資料:営業車両を活用して在来線検査業務の効率化を推進~ 『RED EYE』を導入します!(http://www.jrkyushu.co.jp/common/inc/news/newtopics/__icsFiles/afieldfile/2020/03/25/200325Newsrelease001.pdf)

【著者】九州大学鉄道研究同好会

はじめまして!九州大学鉄道研究同好会(略して九大鉄研)です。創立は1977年、現在は部員41名で活動しています。誠意を持って執筆する所存ですので今後ともよろしくお願いします。

© 合同会社総合戦略研究会