渦中の中国選手に関するATPの声明にオペルカが皮肉。ファンも冷ややかな反応

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「ATP1000 トロント」でのオペルカ

中国の元大物政治家から性的暴行を受けたと告発したことで身の安全が懸念されているダブルス元世界ランキング1位のペン・シューアイ(中国)をめぐって、ATP(男子プロテニス協会)が初めて声明を出したところ、ファンや選手から反感を買っている。英Express紙など複数のメディアが報じた。

ペンの告発が中国当局によってソーシャルメディア上から削除され、本人が消息不明となったのは11月上旬。その後、当局に対する疑惑を鎮静化するかのように、ペンが書いたとされるメールがWTA(女子テニス協会)のスティーブ・サイモン会長宛に送られ、本人が大会や会食に参加している動画が投稿された。また、同時期にIOC(国際オリンピック委員会)のトーマス・バッハ会長が、テレビ電話を通じて本人と話したと発表。しかしながら、いずれもペンが無事で自由に行動できる状況にあるという証拠にはならないとして、中国に対する厳しい姿勢を貫いてきたサイモン会長は12月1日、適切な対応があるまで中国でのWTA大会をすべて中断すると発表。中国では「WTAファイナルズ」をはじめ10大会前後が開催されてきたが、WTAはペンの安否確認と適切な捜査を優先することを決断した。

これに対して中国政府は「スポーツを政治的に利用する行為には断固として反対する」と反撃。IOCも再び声明を出し、ペンとは1日に2度目のテレビ電話を行い、来年1月に直接会う約束も取りつけたと発表するとともに、自分たちはこの手の問題で最も効果が期待できる「静かな外交」を行っているのだと主張している。

一方、テニス界からはレジェンドのビリー・ジーン・キング(アメリカ)やマルチナ・ナブラチロワ(アメリカ)、世界王者のノバク・ジョコビッチ(セルビア)がサイモン会長の対応を称賛し、全面的に支持することを表明。アメリカテニス協会(USTA)も同様の内容を声明の中で述べている。テニス界全体の団結が求められる中、WTAが中国大会中断を発表した翌日、ATPのアンドレア・ガウデンツィ会長がようやく声明を発表した。その内容は以下の通り。

ペン・シューアイを取り巻く状況はテニス界の内外で深刻な懸念を引き起こし続けています。対応はこれまでのところ不十分です。我々は彼女の状況をより明確に把握するために、選手とWTAの間でオープンかつ直接的な対話が行われることを強く願っています。スポーツは社会にポジティブな影響をもたらすことができます。グローバルな舞台で活躍する我々は多くの機会を創出することができ、大きな影響力を持っています。我々は引き続き協会関係者と協議しながら、この問題の進展を見守っていきたいと思います」

ようやく動きを見せたわけだが、「中国」や「性的暴行」といった言葉は一切使わず、傍観者に徹したあまりにも当たり障りのない声明内容がファンや関係者の反感を買う結果となった。「WTAを見習え」「みっともない」「やる気のなさに失望した」といったコメントが多く寄せられる中、世界ランキング26位のライリー・オペルカ(アメリカ)はこの声明を痛烈に皮肉。まずリツイートして、「なんて力強い」とコメントすると、続く投稿では「特に“この問題の進展を見守っていきたい”という部分に感動したよ」と述べている。

(テニスデイリー編集部)

※写真は「ATP1000 トロント」でのオペルカ
(Photo by Vaughn Ridley/Getty Images)