メクル第592号 自分たちで考え弁当作り 授業サンカン 今回は松浦市立今福中

献立や調理法 地域住民ら協力

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自慢の弁当を掲げる3年生と担任の飯野直人(いいのなおと)先生(26)=松浦市今福町浦免、市立今福中学校

 子どもが親の手を借りずに自分で作った弁当を持って登校する「弁当の日」。20年前に香川(かがわ)県の小学校で始まり、全国の学校に広まった食育実践(じっせん)の活動です。松浦(まつうら)市立今福中(川原(かわはら)祥(あきら)校長、48人)では、生徒、先生、保護者(ほごしゃ)、地域(ちいき)住民らが協力して3年目の「弁当の日」に取り組んでいます。11月19日の様子をのぞかせてもらいました。

 「お弁当、頑張(がんば)った?」。朝、校門で川原校長が声を掛(か)けると、「今日は5時に起きた」「全部、自分で作れた」と誇(ほこ)らしげな声が返ってきました。

◆昼休み

 3年生の教室では昼休み、「いただきます」の前に弁当を手に写真をパチリ。コロナ禍(か)のため、生徒は前を向いたまま自分の席で黙食(もくしょく)しました。普段(ふだん)から料理をするという宮崎遥斗(みやざきはると)さん(14)は「今日は4時半に起きて家にあった材料で炊(た)き込(こ)みご飯と唐揚(からあ)げを作った」と教えてくれました。
 2年生の教室では、女子が多いせいかオムライスや、かわいらしい串(くし)に刺(さ)した肉団子(にくだんご)など詰(つ)め方にもこだわりがあります。友達同士で一緒(いっしょ)に買い出しをして、揚げ物を保護者に教わったり、姉妹で協力して作ったりしてレパートリーを増(ふ)やしたそうです。
 初めての「弁当の日」となった1年生。エノキの肉巻(にくま)きなど4品を作った山崎叶愛(やまさきとあ)さん(13)は、「面倒(めんどう)だったけれど、母から意外に卵(たまご)を巻(ま)くの上手ねと言われた」とうれしそうでした。

◆計画表

 今福中の生徒会には体調管理や衛生(えいせい)管理をする「保体(ほたい)部」があります。4月、保体部の生徒たちが「お弁当の日を成功させよう!」のスローガンを決めたそうです。また、弁当を作るときには献立(こんだて)、材料、調理方法、詰め方など多くの不安がありますが、それらをなくすために保体部は計画表作りにも取り組みました。
 計画表には、「旬(しゅん)の食材を使おう」という今回のテーマをはじめ、弁当のデザインを描(か)いて、献立や詰め方がわかるようになっています。夕方からのスケジュール表もつけて買い出しから、調理までにかかる時間もイメージできるように工夫しました。
 「『弁当の日』は、学校で弁当を食べることが重要なのではありません」と話すのは養護教諭(ようごきょうゆ)の仲宗根明美(なかそねあけみ)先生(61)。学校の目標を見せてもらいました。弁当作りは手間がかかって当たり前、わからないことは家族に聞いてやれるようになることで家族を助けることにつながると指摘(してき)します。

生徒会保体部が作成した計画表。デザインを描くことで献立が決まり、彩りを考えることで自然と栄養バランスが整う。タイムスケジュールで調理の段取りがわかりやすくなる。赤字は、仲宗根先生のコメント。

◆上映(じょうえい)会

 11月15日には、「弁当の日応援(おうえん)プロジェクト」(事務局(じむきょく)は共同通信社内)の助成事業を利用し、映画(えいが)「弁当の日 『めんどくさい』は幸せへの近道」の上映会を開催(かいさい)。保護者や地域の人たちも一緒(いっしょ)に、「弁当の日」の意味を考えました。
 1年生17人には11月9日、調理体験学習を実施(じっし)しました。同市食生活改善推進(かいぜんすいしん)協議会の柴田正子(しばたまさこ)さんら4人の講師(こうし)が生徒たちに調理を指導(しどう)しました。
 体験学習で作るメニューには旬の食材を使用。同校のボランティア部が校内で育てたサツマ芋(いも)やバターピーナッツカボチャなどを提供(ていきょう)しています。この他、今福中の取り組みでは弁当の中身に冷凍(れいとう)食品を1品だけ利用できるようにするなど弁当作りへの抵抗(ていこう)感を減(へ)らす工夫もしています。
 今福中は年度内にあと2回、「弁当の日」を予定しています。12月17日は「我(わ)が家自慢(やじまん)のおかず」、来年3月11日は「大切な人へのお弁当を作ろう」がテーマ。また一歩成長する生徒の姿(すがた)が期待できそうです。

◎「弁当の日」の目標

・「自分で食べるものを自分で作る」ことで、お弁当作りに手間がかかることを実感し、食べることの大切さを学ぶ。
・「食べ物が命を育てる」また「食べ物には命がある」ことを実感し、食べ物を粗末(そまつ)にしない態度(たいど)を身に付ける。
・お弁当作りを通して自分が家族の一員として役に立てる喜びを実感する。
・台所に家族で立つことで、家族のコミュニケーションの機会を増(ふ)やす。