退院者の半数に後遺症 新型コロナ第2~4波、和歌山

和歌山県内新型コロナ退院者の後遺症継続期間

 和歌山県内で新型コロナウイルスに「第2波」~「第4波」中に感染し、退院した人のうち、半数に後遺症があり、さらにその半数は1カ月以上続いていたことが県の調査で分かった。6カ月以上という人もおり、県は改めて感染予防を呼び掛けている。

 県は昨年9月以降に入院し、今年6月末時点で退院後2週間以上経過した2238人を対象に、7月にアンケートと聞き取りで調査し、1407人から有効な回答を得た。

 このうち、退院後何らかの症状がある人は55%の772人。10代未満は12%、10代は29%で若年層は少ない傾向だったが、30代で64%、40代で65%、50代で63%と多くなっている。

 後遺症の継続期間は、半数の389人が1カ月以上続いていた。3カ月以上は125人(16%)で、6カ月以上も30人(4%)いた。後遺症がある人のうち約2割が医療機関を受診しており、仕事を休まざるを得ないという相談も保健所に寄せられているという。福祉保健部の野尻孝子技監は「後遺症への周囲の理解が求められる」と話している。

 後遺症があった人に、症状(複数回答)を聞いたところ、約半数が「倦怠(けんたい)感」を挙げた。このほか「嗅覚障害」や「味覚障害」はそれぞれ約30%、「頭痛」や「呼吸困難感」「食欲不振」も多く、約20%が該当した。

 男女別では、女性の方がほとんどの症状で割合が高く、特に「脱毛」や「頭痛」では男性の2倍となった。性別と後遺症の関連性は分かっていないが、女性の方に後遺症が多いという別の研究結果もあるという。

■ワクチン接種などで第5波の致死率低下

 これまでの感染者の致死率もまとめた。「第3波」までは1.5%で、「第4波」は2.1%と上がったが、「第5波」(10月末発表分まで)では0.5%に下がった。ワクチン接種が進んだことや、抗体カクテル療法など治療薬による効果が推測されるという。通算の致死率は1.2%で、ほぼ全国並みとなっている。

 ただ、人口10万人当たりの死亡率は6.70人で、全国の14.47人より少なく、都市部との比較でも大幅に下回っている。県内では感染の拡大を全国より抑えられたことや、全員入院による重症化防止によるものと考えられるとしている。

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