【高額!?】意外と知らない、交通広告のセカイ

通勤電車には必ずある広告。私たちが通勤・通学で普段目にする機会も多いのではないでしょうか?今回はそんな広告の豆知識をご紹介します。

中吊り広告、一番高いのは?

まず気になるのは掲出料金。

例えば首都圏の主なJR線で中吊りシングル(B3サイズ)を一週間掲出した場合、掲出料金は下記のとおりとなります。

・山手線 2,170,000円
・京浜東北線 980,000円
・中央線快速 930,000円
・横浜線 280,000円
・京葉線 245,000円
・相模線 49,000円
(※出典:JEKIメディアガイド2021年版)

もちろん一番高いのは東京の顔でもある「山手線」。

その他の路線も路線特性や媒体価値、また掲出される車両数によっても影響したりします。

一方で「銚子電鉄」では2,640円(1ヵ月)、「いすみ鉄道」では1,650円(1ヵ月)で掲出可能です。地方私鉄にとっては広告を出す事自体が支援になるかもしれませんね。

ラッピングも広告

都内の路線では様々なラッピング車両が運行されていますね。特に人気のアイドルやアニメキャラクターで装飾された車両が走るとなれば話題性も高いです。

ちなみに「JR山手線」で1編成(11両)を2週間掲出した場合、費用は何と6,000,000円。4週間でも8,000,000円ですからなかなかのお値段です。

ちなみにこのラッピング広告電車、厳密には「屋外広告物」と同じ扱いのため、掲出に際しては走行する沿線各自治体への申請が必要となります。

また、東京都では窓ガラスへの掲出はできないため、フルラッピングでも窓部分への貼り付けはNGとなっています。東京都を走らない「千葉都市モノレール」などはこの条例に抵触しないため、窓ガラス部分まで装飾したデザインが可能だったりします。

千葉都市モノレール## 実はあの路線と同じ広告?!

「東京メトロ東西線」と「東葉高速鉄道」の車両、よく見ると業務ポスターを除き車内広告が同じだったりします。同様に「JR埼京線」と「東京臨海高速鉄道(りんかい線)」、「東急東横線」と「みなとみらい線」の車両も同じ広告が掲載されます。

まだ歴史の浅い第三セクター路線単体では広告媒体価値が弱く、またグループの広告管理会社(ハウスエージェンシー)などを持っていない経緯もあり、乗り入れや直通先の路線と抱き合わせでの発売になっていたりします。

意外なケースでは「JR山手線」と「つくばエクスプレス」が“セット売り”されているのも面白いところ。

「つくばエクスプレス」には大手企業の広告が多いと感じた方も多いかもしれませんが、実はそうしたカラクリがありました。

つくばエクスプレス## 実はNGな表現

公共性の高い広告という事で、掲出前には「意匠審査」というものがあります。
以前は週刊誌の表現で黒塗りのまま掲出されたり、過激すぎる表現が問題となり掲出後に撤去されるケースもありました。

鉄道会社や管理を行う広告代理店によりそれぞれ条件は異なりますが、路線イメージの観点からパチンコなどギャンブル業種の出稿数を制限したり、また高齢者に配慮し優先席付近にお墓や葬祭関連の広告を見合わせる鉄道会社もあリます。

それ以外にも自社(鉄道会社)およびグループ企業と競合するものも掲出はできないケースが多いですが、私鉄同士ではお互いバーター(交換条件)で掲出することもあるそうです。

また「一番」や「ナンバーワン」、「地域最大」といった表現には根拠の明示が必要だったり、「必ず痩せる」といった表現もN Gだったりします。意匠審査の時点でニュアンスの見直しをすることもあり、これらを経てようやく掲出することができます。

― 普段何気なく見ている広告も、掲出するまでには様々な過程があります。

電車に乗った際、ちょっと違った視点で広告を眺めて見るのも面白いかもしれません。

【著者】通勤電車ドットコム

© 合同会社総合戦略研究会