壮大な自然の様々な条件が重なって生み出される光景「雲海」。霧が谷に留まり、それが海のようになり、周りの山々がまるで海に浮かぶ島々に見える、希少な自然現象だ。日の出とともに、吉野川を覆いつくす雲海を眺める絶景のスポットを、国見山エリアから2か所紹介する。
徳島県三好市を流れる吉野川のエリアは雲海の発生率が高い人気の雲海スポット
雲海は希少な自然現象で、地形もとても重要である。
三好市を流れる吉野川のエリアは、他の峡谷より雲海が発生しやすい条件にあり、その雄大な眺めを楽しみに三好市を訪れる人々も多く、写真家たちにも人気である。
雲海が発生するには、様々な条件が重なる必要がある。前日に晴れており、湿度も十分にあり、夜間の気温が低くなること。そして、風が弱く、広域に発生した霧が谷に留まること。
こうした環境が整う、早春から中旬、秋半ばから晩秋までが、雲海の発生しやすい季節である。しかし、稀に、吉野川エリアでは夏や冬でも見られることもある。
夜明けの幻想 雲海
雲海は日の出とともに発生。しかし、通常は日の出後1時間ほどで消えてしまう。早起きは必須となる。
雲海の発生には様々な気象条件が必要だが、もう一つ大事なことは、雲海を眺めるために十分な高さまで上がることだ。通常、雲海の発生する川から200~300メートル以上の標高に、雲海展望スポットはある。
徳島県西の名峰 国見山登山口・雲海スポットからの眺め
国見山は標高1409m、三好市、大歩危峡と祖谷の境にある山だ。しかし、国見山頂上まで登る必要はなく、車で行くことのできる、雲海スポットが2か所ある。
国見山登山口へは、JR大歩危駅から車で約30分、西祖谷中心部からは車で約25分。
なお、ビュースポットへの道、最後の10~15分は、曲がりくねった急な上り坂となるので注意が必要だ。
※国見山には二つの登山口がある。「国見山登山口(上の登山口)」と「おうどう峠登山口(下の登山口)」とがあるので注意。「国見山登山口・雲海スポット」は「上の登山口」だ。
パート3では「国見山登山口(上の登山口)」からのアクセスを紹介する。
早朝、日の出前に車で雲海ビューポイントへ出発
雲海を見るために、夜明け前、まだ薄暗い中運転をして、ビューポイントに向かう。国見山登山口のこぢんまりとした駐車場に着く頃は、少し明るくなっていた。
運よく、この日は霧が谷の中に静かにとどまっている。
この道路沿いからすぐに峡谷は見えないが、道路沿いの登山口から、コンクリートの階段を数メートル上ると、峡谷の広大な景色を望むことができる。
標高1,050m、眼下に広がる吉野川を覆う美しい雲海と四国の山々
国見山登山口からの眺め。ここは標高約1050m。この下の吉野川は標高約150mのため、ここは川から約900mの高さにある。
幻想的な光景が広がり、雲海で満ちた峡谷の景色は、南に数十キロにわたって、隣接する高知県までと続いている。
日が次第に高くなり、どんどん明るくなってくるが、通常なら薄くなっていく雲海がこの日はなかなか消えてしまわない。
そこで、せっかくなのでもう少し遠くのスポットへも行ってみることにした。
狭い道を運転して約10分。さらに別方向への絶景が広がるスポットへもやってきた。
パート2では、ふたつめの国見山雲海スポットを紹介する。
国見山 三好市公式観光サイト【大歩危祖谷ナビ】
(取材・文・写真: ショーン ラムジー)