【社会人野球】同級生は鷹・甲斐野らプロ6人 大会記録“7連続K”に並んだ左腕の秘めた思い

日立製作所・阿部博光【写真:川村虎大】

7者連続奪三振を記録し、元西武・松沼博久の大会記録に並んだ

初めての東京ドーム、普段とは違うオレンジのユニホーム。「緊張していた」との言葉とは裏腹に、落ち着いた投球で三振の山を築いた。日立製作所の補強選手として第92回都市対抗野球大会に出場したSUBARU・阿部博光投手。4日に行われた東邦ガスとの2回戦で、大会タイの7者連続奪三振を記録した。

140キロ中盤の直球とチェンジアップを織り混ぜ、立ち上がりからいきなり6者連続三振。2回を終えベンチに戻ると「(大会タイ記録まで)あと1人だぞ」と知らされた。それでも、「意識はせずしっかり勝つためにできることをやろう」と落ち着いていた。

3回先頭で迎えた7番・高垣鋭次のバットに空を切らせて7個目。西武などで活躍した松沼博久(東京ガス)が1978年に記録した連続最多記録に並んだ。続く8番・木村駿斗は二ゴロで新記録とはならなかったが、6回1/3を投げて計11個の三振を奪った。許したのは、わずか2安打。チームは1-1の10回1死満塁で押し出し四球を与えてサヨナラ負けを喫したが、存在感は抜群だった。

同期は6人がプロ入り、自身も「行けるなら行きたい」と意欲

長野・佐久長聖高から東洋大に進学。当時の同級生は、DeNA・上茶谷大河、ソフトバンク・甲斐野央、中日・梅津晃大、オリックス・中川圭太の4人が大卒でプロに入った。さらに、ENEOSを経由して藤井聖が昨年楽天へ。今年10月のドラフト会議では、大阪ガスに就職した末包昇大が広島から6位指名を受けた。

同級生6人がプロ入りする環境。自身は登板する機会もあったが、目立った存在ではなかった。社会人のSUBARUに就職して野球を続け、補強選手として都市対抗に初出場。東邦ガスを圧倒する投球を見せるまでに成長した。

同級生たちには今でも刺激を得ている。「やっていることは同じでも、プロはもっと厳しい」と現実を理解しつつも「(プロに)行きたかったですね。行けるなら今でも行きたい」と秘めた思いも明かす。初の全国舞台で爪痕を残した阿部。「来年は自分のチームで出れるように」。プロへ1歩でも近づくために、次は青いユニホームで東京ドームのマウンドに戻ってくる。(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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