“史上最高のサブマリン”山田久志氏の闘志が再燃 球児に戻った甲子園のマウンド

「マスターズ甲子園2021」に参加した山田久志氏【写真:喜岡桜】

秋田県代表の能代高校OBチームの先発投手を務める

通算284勝を誇る史上最高のサブマリンが帰ってきた。4日から阪神甲子園球場で開催されている「マスターズ甲子園2021」に、秋田県代表の能代高校OBチームが参加した。先発投手を任されたのが、阪急ブレーブスの黄金期を支え1988年に現役を退いた山田久志氏だった。

1968年に阪急ブレーブスへドラフト1位で入団し、パ・リーグ投手最多タイのベストナイン5回受賞などを成し遂げたサブマリン。現役時代を彷彿させる華麗なアンダースローで4球を投じ、相手打者を空振り三振に仕留めた。

「母校のユニフォームを着て、(高校)現役のときに甲子園で投げたかったなとは思うよね。でも楽しかったです。なにより2回裏に歌った校歌がよかった。何年経ってもちゃんと覚えていて、自然と出てくるものだね」

試合後に清々しい表情を見せたレジェンド。高校時代は秋田県4強が自己最高成績で、甲子園への切符を掴むことはできなかった。マスターズ甲子園では試合前にチームメイトと写真を撮り、終始和やかなムードで試合へ挑んだ。マウンド上でも笑顔が絶えず零れた。

素晴らしい大会に感謝「今度は予選から参加したい」

「(登板前は)1球だけでいいって言っていたのだけど、マウンドへ上がると、1人のバッターと最後まで戦いたくなった」

対戦した奈良県代表・御所実業高校の打者は2度の甲子園出場経験があるが元プロ野球選手ではなかった。年齢や経歴など一切関係ない“高校球児”に戻れるのがマスターズ甲子園の醍醐味だ。

「(今後のマスターズ甲子園へも)元気なうちは参加します。今度は地方予選から参加したい。良いものを経験させてもらえました。以前は大会のことを詳しく知らなかったんだけど、『こんな良いことやってるんだ! それは参加させてもらう』と返事をしたんです」

現在、秋田県では11校のOBチームが加盟している。トーナメント形式の地方予選を勝ち抜くとマスターズ甲子園の本大会出場権が得られる。今年で73歳。マスターズ甲子園風にいうと「高校58年生」。野球殿堂入りも果たしたレジェンド・山田久志氏が、またいつか甲子園への切符を掴んで帰ってくることを期待したい。(喜岡桜 / Sakura Kioka)

© 株式会社Creative2