「がん保険」選びの常識が変わった?最新がん保険の特徴と選び方

がんの治療法は、日進月歩で変化しています。入院日数でみると、1996年は平均約46日でしたが、2017年では平均約17日です。

昔は、がんの治療法は手術が中心でした。ですので、入院日数も長くなっていたのですが、治療法も大きく変わり、抗がん剤、放射線治療が多くなったのです。いまでは、手術、抗がん剤、放射線治療が標準治療といわれています。

がん保険も、がんの治療の変化に合わせるように変わってきました。以前のがん保険は、一時金、入院・手術、特約という形でした。いまでは、入院が短くなり、入院なしで抗がん剤治療というケースもあり、以前のがん保険では、十分な保障を得ることができないケースができます。

がんの治療法が多様化したように、いまのがん保険の特徴は、保障も多様化してきたところです。

最新のがん保険を選ぶには何を基準に考えればいいのか、もし古いタイプのがん保険でしたら、乗り換えも検討しながら読んでみてください。


がん保険の発売ラッシュ

昨年は、新型コロナの関係もあったので、新商品というのは、少なかったのですが、2021年は続々と新商品や商品改定がありました。その中でもとくに多かったのが、がん保険の新商品です。

チューリッヒ生命「終身ガン治療保険プレミアムZ」、オリックス生命「がん保険Wish」、太陽生命「がん・重大疾病予防保険」、SOMPOひまわり生命「吸わんトクがん保険」「健康をサポートするがん保険 勇気のお守り」などです。

最近の治療法などに対応していたり、がんになってからの生活が困らないような保障を考える方向になってきました。その特徴的なところを解説します。

診断一時金が高額になった!

いままでは、がん診断一時金は300万円が最高額でしたが、さらに高額になりました。

オリックス生命「がん保険Wish」は最高600万円の一時金が受け取れます。太陽生命「がん・重大疾病予防保険」は、最高2,000万円の一時金を受け取ることができます。

診断一時金は、がんと診断された場合に受け取れる給付金です。受け取ったお金は、治療に使ってもいいし、生活費の補填に使うこともできます。がんと診断されて、落ち込んでいるときにまとまったお金を受け取れるのは、精神的にも安心できます。その後の生活の助けにもなってくれます。

自由診療に対応している保険が増えた

以前は、自由診療に対応した保険は、SBI損保「がん保険自由診療タイプ」とセコム損保「がん保険メディコム」の2つしかありませんでした。最近は、チューリッヒ生命、メディケア生命、SOMPOひまわり生命、FWD生命などのがん保険も、自由診療に対応した保障があります。

「がんゲノム医療」で、「がん遺伝子検査」をして、遺伝子に対応した薬がわかったとしても、認可されていない薬の場合には、自由診療になってしまい、治療の費用が高額になる可能性があります。「自由診療」に対応した保険を選ぶと、治療の選択肢を増やすことができます。

治療の長期化に対応できる商品が増えた

がんの治療の抗がん剤、放射線治療などは、通院が主体になっています。場合によっては、治療は非常に長期化することも。がんの治療中は、副作用などの影響で、いままで通りの仕事ができなくなってしまいます。残業などが難しくなったり、体力を使う仕事ができなくなったり、さらに休業をすることもあります。

当然収入にも大きく影響が出ます。収入が少なくなるとたちまち生活費が困ってしまう場合も。その備えが、抗がん剤治療給付金、放射線治療給付金、それにがん治療給付金などです。この治療給付金を主契約にしているがん保険も発売されています。

治療が継続しているかぎり受け取れる給付金、またはがんと診断されたら受け取れるがん診断一時金は、収入減になった時にはとても役に立つものです。どちらを優先すれば正解か?というのは、意見が分かれるところです。治療が長期化すると毎月受け取った方がいいですし、短期で治療が終わるのであれば、一時金がいいでしょう。でも、これは保険に入る前にはわかりません。

予防にも対応する商品が登場

「がんの予防」の保険も登場しました。

「吸わんトクがん保険」は非喫煙者だけ入れるがん保険です。また、がん検診のサービスがある商品も登場しました。

太陽生命の「がん・重大疾病予防保険」は、「アミノインデックス検査」のサービスがあり、SOMPOひまわり生命「健康をサポートするがん保険 勇気のお守り」は、「N-NOSE」「サリバチェッカー」というがん検診の紹介サービスがあります(どちらも検査費用は有料です)。

誰もが、がんになりたくはありません。でも2人に1人ががんにかかるのならば、早期発見できるようにしておきたいものです。早期発見ならば、命に関わると言うことも避けられるし、治療費用も少なくてすみます。収入減のリスクも少ないはずです。

がんに対する備えは、まず、がん検査による早期発見が第一だと思います。でももしがんになった場合には、「がん保険」という備えが必要、という2段構えが有効だと考えています。

© 株式会社マネーフォワード