【社会人野球】熱血ヤクルト党左腕が快投で8強進出 窮地でも支えになった「絶対大丈夫」の精神

三菱重工West戦で先発登板した東京ガス・高橋佑樹【写真:中戸川知世】

6回1失点の力投を見せた東京ガスの高橋佑樹

ヤクルトが日本シリーズを戦った東京ドームのマウンドで、“燕党”の左腕が吠えた。5日に行われた「第92回都市対抗野球大会」2回戦の三菱重工West戦に先発した東京ガス・高橋佑樹投手が6回1失点の好投を披露。チームは5-1でベスト8に進出した。

苦しい立ち上がりだった。初回は「どうにもこうにもストライクが入らなかった」と、先頭から2者連続で四球。3番・福永裕基内野手に左前に運ばれ、1死も取れずに先制点を与えた。それでも、焦りはなかった。

「『絶対大丈夫』という気持ちでやろうとしました」。4番・皆川仁外野手を三振、5番・西岡武蔵内野手を三ゴロ併殺で切り抜けると、2回以降は無失点。味方の逆転を呼び寄せた。

ヤクルトJr.出身の燕ファン、ベンチに「絶対大丈夫」タオルを持ち込む

高橋は小さい頃から大のヤクルトファン。小学6年生の時には、スワローズジュニアに選出されており、中学校時代には、東京神宮リトルシニアに所属し、神宮球場の隣にある室内練習場で野球に明け暮れた。

オリックスを下して2001年以来20年ぶりになった日本シリーズも毎試合、テレビで観戦。「2敗した抑え(マクガフ)が最後にロングリリーフで抑えたのとか、川端(慎吾)さんが最後決めて『代打の神様はこんな大事な場面で打つんだ』とか……。とにかく凄かった」と、興奮気味に話す。自らも試合中、高津臣吾監督の「絶対大丈夫」タオルをベンチに持ち込み気持ちを鼓舞。試合後の会見でも取材陣に対し、画面越しにタオルを掲げ“燕愛”をアピールする場面もあった。

慶大時代に1度指名漏れし、社会人2年目でドラフト指名が解禁された今年も念願のプロ入りは叶わなかった。「もちろん目指す気持ちはまだ持っている」と強い思いはあるが、まずは都市対抗で勝つことが目標だ。次は強敵・ENEOSとの一戦だが、左腕は「絶対大丈夫」と自らに言い聞かせた。(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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