小学生でも超ハイレベルな守備練習 ヤクルトJr.度会監督が子どもに伝えたいこと

東京ヤクルトスワローズジュニアを率いる度会博文監督【写真:伊藤賢汰】

元内野手の度会博文氏が監督を務める

20年ぶりの日本一に輝いたチームに続け! NPB12球団ジュニアトーナメントが12月28日から30日に、神宮球場、横浜スタジアムで開催する。東京ヤクルトスワローズジュニアを率いる度会博文監督は川島亮コーチ、三輪正義コーチとともに3連覇を目指し、週末に練習を重ねている。小学生のトップレベルといえるメンバーを選出するポイント、そして子どもたちに伝えたい思いなどを度会監督に伺った。

【動画】ずっと見ていられるボール回し ヤクルトスワローズJr.のハイレベルな守備練習

――応募総数や一次選考通過メンバーは実際、どのくらいいたのでしょうか?

「送っていただいた動画は600本から700本近くあったと思います。二次選考に進んだのは約100人です。シートバッティングなどを実施し、それもビデオカメラで撮影し、スピード感とバランスの良い投げ方など、フォームチェックしながら選んでいました」

――選考のポイントにしていた部分はありますか?

「動画を見ながら、プロフィールにある数値などをチェックし、実際に見てみようと思える選手が一次を通過しています。あとは自分のチームでキャプテンをやっているかなどを見ています」

――キャプテンをやっていることで見えてくるものがある?

「キャプテンを任される選手は人望や、監督、コーチからの信頼があると思っています。そういう子たち集まってくると、色々と周りへの気遣いができます。(応募の際の入力シートに書く項目として)2年前からつけ始めています。良い形で進んでいるかどうかはまだわからないですが……」

――その2年で優勝をしている。ヤクルトジュニアの中のキャプテンはどのように決めていますか?

「私が監督をやらせてもらってから、16名全員にキャプテンを1回はやらせています。8月の結団式が終わってから、毎日、キャプテンを変えて練習して、最終的にキャプテンシーのある西田蓮に決めています。ただ、今回、選んだ子は自分のチームではキャプテンをしていないんです」

――なぜ、西田選手がキャプテンに?

「この先、やってもらわないといけない選手かなと思ったからです。レギュラーとしてチームの要としてやってもらわないといけない。それにグラウンド外の振る舞いです。球団社長が視察に来ていただいたときなども大人の前でしっかりと挨拶や言葉を発していました。彼には『この先、いい経験になるから頑張ってやってみてくれと言う話をしました』。バランスを見て決めました」

「彼らの野球人生は長い」…だからこそ伝えたいこと

――ジュニアトーナメントを勝ち上がることよりも、遠い未来を見据えている指導をしている印象を受けます。心がけていることは?

「技術的なことでいえば、バットをたくさん振った方がいいですし、子どもたちにも大事なことは基本の反復練習です。継続していくと上手くなりますから、続けてほしいと思います。ただ一方で、野球をつまらなそうにやるのはもったいない。明るく元気に付き合ってもらえればと思いますね」

――今回のメンバーは見ていると精鋭揃いですね。どのような印象をもっていますか?

「上手だと思います。成長がめちゃくちゃ早いなと思います。そういう感覚はありますね。毎週、毎週、上手になっていく。そういうところは、やっていて楽しいですね」

――選手たちに口酸っぱく言っていることなどありますか?

「私はいつも、結団式で選手たちに伝えさせてもらうのですが、ジュニアトーナメントで優勝したい、日本一になりたいというのはもちろん目標としてあってもいいのですが、彼らの野球人生はこれからすごい長いです。次のステップに向けて成長してもらいたいので、そういう練習をやらせています。なので、ここで見つけたものは、中学、高校と進んだ時に、絶対に役立つ、と伝えています」

――例えばどんなことがありますか?

「野球にはセオリーはありますが、正解は人と違うこともあります。自チームの監督と、僕らの教えることが違っていることもある。自分のチームのときはその監督の考えをしっかり聞いてほしい。ただ、僕らはその先で野球をするにあたり、続けていて損は無いことを言っています。中学に行って、監督が変わった時に、『ヤクルトジュニアでこういうことを言ってたな』とか頭に入れておいて欲しいなと思いますね」

プロの選手たちも使用する戸田球場、寮に隣接する室内練習場で精鋭たちはコーチたちの言葉に耳を傾けていた。選ばれた者にしか与えられない環境、元プロ選手たちからの貴重な言葉。ここには貪欲な選手が上達していく要素が詰まっていた。次回のインタビューでは、その“知っておいて損のない”ことや、ヤクルトだからこその“強み”を紹介する。

【スワローズジュニア選手一覧】
1 福井勇翔(豊上ジュニアーズ・千葉)
2 中嶋蒼空(小林キラーズ・千葉)
3 鈴木穰(東京世田谷ボーイズ・東京)
5 島内陽路(大橋みどりファイターズ・千葉)
6 福岡大義(大野ホーマーズ・千葉)
7 大久保遼(東京バンバータJr.・東京)
8 吉田侍人(不動パイレーツ・東京)
9 佐藤泉里(杉並ライオンズ・茨城)
10 越沼優悟(栗原ビーバーズ・埼玉)
11 板東総寿(藤代バッファローズ・茨城)
12 東修平(東京世田谷ボーイズ・東京)
13 高橋友朔(光華グリーンズ・東京)
14 滝沢結稀(西埼玉少年野球・埼玉)
15 西田蓮(府ロクスポーツ少年団野球部・東京)
16 荒野快翔(常盤平ボーイズ・千葉)
18 光岡駿(前ヶ崎クラブ・千葉)(記事提供:First-Pitch編集部)

【動画】ずっと見ていられるボール回し ヤクルトスワローズJr.のハイレベルな守備練習

勝利と出場機会をどう両立させる? 100人超えの巨大チームに学ぶ少年野球運営のヒント

中日アカデミーから初のプロ生んだ“成長促進法”とは

© 株式会社Creative2