里親制度「理解」35% 低調 普及啓発が課題 21年度栃木県政世論調査

里親制度の認知度

 さまざまな事情により家庭で養育できない子どもを育てる「里親制度」を理解している県民が35.1%にとどまることが5日までに、県の2021年度県政世論調査で分かった。一方、「言葉は聞いたことがあるがよく分からない」との回答が最多で54.5%を占めた。県は10月に里親支援のための「栃木フォスタリングセンター」を開設したばかりだが、制度を正しく理解してもらうための普及啓発の必要性が改めて浮き彫りになった。

 調査は5~6月、県内在住の満18歳以上の男女2千人に郵送し、1288人が回答した。

 制度を「詳しく理解している」は5.2%と1割に満たず、「おおよそ理解している」は29.9%だった。これに対し「里親制度という言葉は聞いたことがない」は8.5%で、「言葉は聞いたことがあるがよく分からない」と合わせると全体の約6割となった。

 「実際に里親として登録したいと思うか」の問いには、「登録したい」が1.0%、「登録したいが現時点では難しい」が16.5%。「登録したくはないが間接的な支援はしたい」は27.6%。「登録したくない」は53.0%で、特に70歳以上女性では6割を占めた。

 登録者を増やすための社会的支援(複数回答)では「金銭面での支援の充実」が62.3%で最も多く、「養育に関するサポートの充実」が57.7%と続いた。

 県こども政策課は「養子縁組のイメージが強くハードルが高いと思われている。自立までの一定期間や短期間だけ預かり家庭で養育する機能を知ってもらうことも重要」とし、同センターを通じたセミナー開催などに取り組む方針だ。

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