メタバースで100兆円規模の巨大経済圏が誕生する?注目される理由と関連企業10選

最近、株式市場で注目を集めているものの1つに「メタバース」があります。メタバースとは「メタ(meta:超越)」と「ユニバース(universe:宇宙)」から作った造語で、沢山の人が集まって様々なことが出来るインターネット上につくられた仮想空間のことです。

メタバースのユーザーはスマートフォン、パソコン、ゲーム機、ヘッドマウントディスプレイと呼ばれる顔に装着するゴーグル型端末などを使ってインターネットでメタバース内の仮想都市などにログインし、コントローラーやセンサー等で自らの分身となるアバターを操作しながら、他のアバターとの会話や現実ではありえないような冒険など、様々な体験をすることが出来るようになります。


次世代のSNSとして期待が集まる

メタバースでは、仮想空間という今までのSNS(交流サイト)とは異なった環境の中で、世界中のあらゆる場所にいる人たちがアバターによってリアルタイムで情報発信やコミュニケーションが出来るようになり、今後、次世代のSNSとしてメタバースが世界に広まる可能性が考えられます。

VR(仮想現実)などの3D(3次元)画像技術で作られたメタバースの立体的な仮想空間は、ヘッドマウントディスプレイなどのVR端末を使うメタバース利用者に、あたかも仮想空間や仮想都市の中に自分がいるような高い臨場感や没入感を与えます。

現実では離れた場所にいる仲間が本物そっくりの3Dアバターとして目の前に現れて会話が出来る、というような新しいコミュニケーションの形を提供することで、ツィッターやフェイスブックなどのSNSのようにメタバースが人々の生活スタイルの一部となるサービスになる日も遠くはないかもしれません。

新たな消費空間での巨大経済圏の誕生か

アバターやVRなどを使う仮想空間をプラットフォームとし、ユーザーにとってメタバースを仮想の居住空間や仮想の街と位置付けることによって、メタバース内の消費(課金)は現在のSNSとは比較にならないほど増える可能性もあります。

アバターが身にまとうデジタルの服などのアイテムから、VRのゲーム、イベントやコンサートなどのエンターテインメント、オンライン学習、Eコマースの商品など、様々な消費が仮想空間内で行われ、デジタル商品の資産価値を担保するNFT(非代替性トークン)というデジタルの証明書を活用することで、メタバース内で所有されるデジタルの芸術作品や不動産などの高額なデジタル商品の取引が増えることもあるでしょう。

メタバースの利用の向けては現時点では技術開発やルールの整備など対応すべき課題はありますが、メタバース内での消費などにより、2020年で約5兆5千億円とみられているメタバースの関連市場は2028年には100兆円規模へ拡大するとの見方もあります(カナダのエマージェン・リサーチ社予想)。新たな消費空間として巨大な経済圏を生む可能性を持つメタバースに注目しみてはどうでしょうか。

メタバース関連市場拡大の恩恵を受ける企業に注目

個別銘柄では、ソニーグループ(6758・東証1部)、任天堂(7974・東証1部)、バンダイナムコホールディングス(7832・東証1部)等のゲーム関連のほか、音楽アーティストを抱えるエイベックス(7860・東証1部)、メタバースの開発や運営に必要な半導体関連の東京エレクトロン(8035・東証1部)やSCREENホールディングス(7735・東証1部)、インターネット広告に強いサイバーエージェント(4751・東証1部)等に注目しています。NFT(非代替性トークン)関連のメディアドゥ(3678・東証1部)メタバースへの取り組みを進めるグリー(3632・東証1部)、メタバースを支える3次元地図の制作技術をもつKudan(4425・東証マザーズ)も注目銘柄と言えるでしょう。

<文:投資調査部 川崎朝映>

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