SDGsで過疎地域の課題解決!その取り組み内容とは?全国会長賞受賞の狩俣自治会長に聞く

 県から創意工夫で過疎地域を活性化させた団体に与えられる2021年度過疎地域持続的発展優良事例表彰で、会長賞に選ばれた宮古島市の狩俣自治会。國仲義隆会長(50)に、SDGs(持続可能な開発目標)を取り入れた活動について聞いた。

 ―新たな自治会活動を始めたきっかけは。

 「狩俣は過疎化が進み課題が多かったので、会長に就いた2020年度から新規事業を計画した。狩俣の年代別人口は7月現在、450人だが、青年会世代の19~35歳は10人しかいない。将来的に消滅する可能性があり危機感を持った」

 ―キーワードに「幼・老・青・般」を掲げた。

 「課題がいくつもある中、優先順位をつけて取り組まないといけなかった。まず取り組んだのが入園希望児の不足で2年間休園していた幼稚園の復活だ。宮古島市教育委員会に掛け合い、午後からの預かり保育を実施できる体制を構築したら入園希望児が増えて復活できた。今後は0~4歳までを受け入れる保育所の設置を目指している」

 ―SDGsの理念を積極的に取り入れた。

 「市主催のワークショップに参加したことでSDGsを学ぶことができた。企業の協力もあって初期投資ゼロで太陽光パネルと家庭用蓄電池を狩俣集落センターに設置した。環境省の補助を活用して電気自動車(EV)も導入した」

 「全区民を対象に通学や通院の相乗りサービスを提供したら好評を得た。EVは停電時の非常用バッテリーとしても活用できるので防災面にも強い。SDGsは過疎対策に有用だ」

 「島に大学はない。地域の子どもたちはいったん外に出るけれども『将来帰ってきたい』と希望する。狩俣の地域を残すためにこれからも活動していきたい」

 (聞き手・梅田正覚)

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