「ワクチンは万能ではない」、コロナ長期化を見据えた朝鮮 オミクロン株も警戒、防疫体制を一層強化

新型コロナウイルスとたたかう防疫戦はまだ終わりそうにない。

世界を席巻したデルタ変異ウイルスよりも突然変異部位が2倍も多く、伝染力は5倍に達するというオミクロン株は、その存在が確認されてから、半月も経たないうちに南極を除くすべての大陸から感染者が出た。

 新たな変異種が発見された直後の各国の反応は、「コロナ禍の中の世界」を示した。

オミクロン株を初めて発見し、世界保健機関(WHO)に報告した南アフリカでは、大統領が今回の事態を機に全世界に「ワクチンの不平等」を放置してはならないという警鐘を鳴らさなければならないと訴えた。

防疫体制を強化している。(C)朝鮮新報

 米国大統領は、自国民に向かって新たな変異種には懸念があるが、我々には世界最高のワクチン、治療剤、科学者がいるので慌てる必要はないと述べた。

 中国はアフリカ諸国にワクチン10億回分を提供すると表明した。

 ところが問題は、新たな変異種がワクチンを無力化する可能性があるということだ。

 ファイザーやモデルナの最高経営者もこれに関する発言をしている。

 今年の春、朝鮮メディアがワクチンは万能の解決策ではないとしながら、防疫戦の長期化を既定事実化する論調を展開したことが思い起こされる。 

当時、朝鮮労働党の機関紙・労働新聞は、「臨時的な対応策ではなく、より完全で持続的な防疫態勢で祖国の安全と人民の安寧を守る」ことを訴えていた。

感染症対策の長期化に対処する上で重要なのは、慢性化への警戒だ。

 現在、朝鮮でもオミクロン株の伝播に対処する必要性が強調されている。

 「すべての勤労者が覚醒し、行動の一致と献身性を堅持し続けることで、国家の緊急防疫事業の完璧性を保障することに総力を集中している」(朝鮮中央通信)という。

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