ドラマを見始めるとやめられないのはなぜ?―中国メディア

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愛奇芸(iQIYI)や騰訊(テンセント)、優酷(Youku)といった動画共有サイトが最近、相次いで「超前点播」という機能の廃止を発表した。そのニュースに、中国のネットユーザーたちは大喜びしている。「超前点播」というのは、動画共有サイトの有料会員が現在配信されているドラマの先の回を見るために、さらに課金する機能のことだ。あるネットユーザーは、「『超前点播』の機能はいらない。配信を待てばいいだけ。見るのが数日遅くなっても何の問題もない」と声を上げる一方で、「見始めると、次も見ないと居ても立っても居られない」との声を上げるネットユーザーもたくさんいる。科技日報が伝えた。

では、ドラマを見始めると止まらなくなってしまうのはなぜなのだろう?数日待てば見られるのに、なぜお金を払ってでも、誰より早く見たいと思うのだろうか?

ドラマを見始めると止まらなくなるのは、ゲームをやめられなくなるのと同じで、現実逃避して、快感を求めるためだ。

映画・ドラマ業界には、「女性はシンデレラストーリーが好きで、男性は社会の底辺にいる人が英雄になっていくストーリーが好き」という暗黙のルールがある。現実の生活の中で、パーフェクトな恋人に出会ったり、事業で大成功したりするというのは決して容易なことではない。しかし、映画・ドラマの中でなら、主人公やヒロインを自分に置き換えることで、どんな事でも成し遂げることができるように感じることができる。映画・ドラマの製作者は、そのような視聴者の心理を理解しており、視聴者が何を見たいのか、どんなシーンに快感を覚えるのか、どのようなストーリーを展開させれば夢中になるのか知っている。

■最後まで見ないと居ても立っても居られない人は「満足の遅延」能力が欠けている?

中国の大手動画プラットホームでは、ある人気歴史ドラマの最後の5話が、さらに30元(約540円)課金すれば「超前点播」できるようになっていた。そして、500万人が課金した。つまり、同プラットホームは、このドラマの「超前点播」だけでも、1億5000万元(約27億円)を稼いだことになる。

ドラマに夢中になっている人にとって、「超前点播」を利用せずに我慢するというのは至難の業。そのような人は、「満足の遅延」と呼ばれる、自分の感情を制御する能力に欠けているのかもしれない。それは、誘惑に直面した時に、将来得られるより大きな報酬(遅延報酬)のために、目の前の小さな報酬(即時報酬)を我慢して遅らせることができる能力だ。ドラマに夢中になり、課金してでも「超前点播」を利用せずにいられないという人は、目の前の小さな報酬を追いかけているのだ。「満足の遅延」というのは、そのような人にとって、「満足できない」、「奪われた」という気持ちになることを意味し、とても不快な気分になる。

米スタンフォード大学の心理学者・ウォルター・ミシェル氏は1966年から、子供時代の自制心と、将来の社会的成果の関連性を調査する「マシュマロ実験」を、ある幼稚園で実施した。

マシュマロ実験の対象は幼稚園の約4歳の子供たち。被験者である子供は、マシュマロが1個のせられた机と椅子だけの部屋に通され、研究者から「それは君にあげるけど、私が戻ってくるまで20分の間、食べるのを我慢していたら、マシュマロをもう一つあげる。私がいない間にそれを食べたら、二つ目はなしだよ」と告げられる。すると、一部の子供は我慢できずにすぐにマシュマロを食べた。一方、最後まで食べずに我慢できた子供は3分の1だった。そのような子供は、研究者が帰ってくるまで、寝たり、歌を歌ったりしてマシュマロから注意を逸らし、二つ目のマシュマロをもらうことができた。

研究者は数十年後にそれら子供の追跡調査をしたところ、「満足の遅延」能力がある子供の方が、勉強の成績が良く、事業でも成果を挙げていた。そのストレス対応力や衝動的な感情のコントロール能力は高く、将来の目標のために目先の誘惑に抵抗することができるため、成功しやすくなっていた。一方、我慢することができず、すぐに目先のものを得ようとする子供は、イライラしやすく、挫折するとすぐに尻込みして、あきらめてしまう。

目の前の小さな報酬を選ぶことがもたらすマイナスの影響を克服するために、自分の欲望を抑え、「満足の遅延」能力を高め、挫折した時にも良いメンタルを保つことができるようにするべきだ。また、読書、瞑想、運動、交流などを通してストレスが解消できるようにする必要がある。(作者:国家二級心理カウンセラー・楊剣蘭) (提供/人民網日本語版・編集/KN)