現役続行率は約6%…戦力外からトライアウトを経て這い上がった選手たち

トライアウトから現役続行に至った選手は?【写真:荒川祐史】

過去3年間、トライアウト参加者の現役続行率は約6%

戦力外となったプロ野球選手が、現役続行を賭けて臨む「12球団合同トライアウト」が今年は8日に行われる。例年50人前後が参加し、投打に分かれての実戦形式の中でアピールするものの、現役続行に至るのはごくわずか。過去3年の例を見ると確率は約6%という狭き門だ。そこをくぐり抜け、崖っぷちから表舞台に返り咲いた選手を見てみたい。

2020年のトライアウトは神宮球場で行われた。2006年を最後に球界を離れていた新庄剛志氏(現日本ハム監督)の48歳での挑戦が話題となる中、他球団への移籍を果たしたのは参加56選手中3人。

ヤクルトを自由契約となった風張蓮投手がDeNAに、日本ハムの育成契約打診を拒否して自由契約となった宮台康平投手がヤクルトに支配下での移籍を果たし、ソフトバンクを自由契約となった小澤怜史投手がヤクルトと育成選手契約を結んだ。風張は今季5試合に登板したものの、オフには2年連続となる戦力外通告を受けた。宮台は1軍登録こそあったものの登板はなし。小澤は支配下昇格は叶わなかった。

2019年オフのトライアウトには43選手が参加した。楽天から自由契約となった卓丸外野手(八百板卓丸)と日本ハムから自由契約となった田中豊樹投手が巨人と育成契約を結び、阪神を自由契約とされた森越祐人内野手は西武入りを果たした。森越は2014年オフに、中日を自由契約となりトライアウトを通じて阪神へ移籍を果たしている。

八百板は巨人での2年目となる2021年、支配下登録され1軍16試合に出場した。田中は2020年7月に支配下登録され、2年間で70試合にリリーフ登板と戦力になった。森越は西武では1軍出場なく引退した。

“キラー”として再起果たした選手も…特徴生かしたプレーが近道?

2018年オフのトライアウトには48選手が参加した。ヤクルトを戦力外となったNPB通算96勝の成瀬善久投手は、ロッテ時代の西村徳文監督が指揮を執るオリックスへ。巨人を自由契約となった中井大介内野手はDeNAへ、廖任磊投手は西武へ支配下で移籍。ソフトバンクを戦力外となった山下亜文投手は2つの三振を奪うなどアピールし、その後入団テストを経て育成契約で巨人に移った。

成瀬はオリックスでは6試合に登板しただけで、1年で再び戦力外に。現在もBCリーグの栃木で選手兼任コーチとして投げ続けている。中井はDeNAでは3年間で161試合に出場し、今オフ現役引退した。廖任磊は移籍した2019年に1軍初登板を果たしたものの、そのオフ再び戦力外に。現在は台湾に戻り、味全ドラゴンズで投げ続けている。

トライアウトを経て、再び輝いた選手は他にもいる。日本ハム時代の2006年にパ・リーグ新人王に輝いた八木智哉投手は、2014年にオリックスを戦力外となった後トライアウトに参加、好投し中日への移籍を果たした。2015年には先発として4勝6敗、勝ち星は全て広島戦だったため“広島キラー”と呼ばれた。

2015年オフに日本ハムを戦力外となった鵜久森淳志外野手はヤクルトへ移籍。左キラーとして居場所をつかんだ。2016年の46試合出場は自己最多。2017年には4月2日のDeNA戦で史上16人目の代打サヨナラ満塁本塁打を放った。2018年を限りに現役を引退している。(Full-Count編集部)

© 株式会社Creative2