GRヤリス・ラリー1の開発状況に満足するラトバラ「ハイブリッドの機能性は実に良い」/WRC

 TOYOTA GAZOO Racing WRTのヤリ-マティ・ラトバラ代表は、2022年のWRC世界ラリー選手権投入に向けて開発作業が進む新型マシン『トヨタGRヤリス・ラリー1』について、その開発状況に満足していると語った。

 12月6日に東京・お台場のメガウェブで行われた『TOYOTA GAZOO Racing 2022年体制発表』の会場でお披露目されたトヨタのラリー1カー。カモフラージュパターンをまとったまま登場したGRヤリスベースのニューウエポンは、2022年から採用される新しい車両規定の導入に合わせてデビューするハイブリッド搭載の新型WRCマシンだ。

 ラトバラ率いるチームは現在ヨーロッパで車両開発を継続しているが、先月末に行われたテストではエルフィン・エバンスがクラッシュを喫した影響でその後の予定がキャンセルされ、テストスケジュールに狂いが生じた。しかし、今週にはクルマが走行可能な状態に戻される見込みとなっている。

 次回のテストでは3台目のハイブリッドマシンで開幕戦モンテカルロに出場するセバスチャン・オジエがステアリングを握る予定だ。WRCフル参戦ドライバーからの引退レースで優勝し、通算8回目のシリーズタイトルを獲得したフランス人は来シーズン、エサペッカ・ラッピとマシンをシェアしながらWRC参戦を継続する。

 クラッシュによるテストの遅れは、デビューから7週間も経っていない新しいハイブリッドキットに対するラトバラの満足度を損なうことはなかった。

「私が本当に満足しているのは、ハイブリッドシステムの機能性だ。現時点ではかなりうまく機能している。これは来年のチャンピオンシップに向けて、もっても重要なことだ」とWRC.comに語ったラトバラ。

「現在の状況には満足していると言わざるを得ない」

「エルフィン(・エバンス)がクラッシュしたときはテストを中断しなければならなかった。なぜならば、テスト車を修理するための充分なパーツを持っていなかったからだ。我々はいまも新しいクルマの部品を作るのに忙しくしている」

「タイミング的には厳しいものになるだろう。たしかに余分な時間はないし、時間を無駄にすることはできない。すべての走行機会が本当に重要で、セバスチャン(・オジエ)が新しいクルマに対してどのような印象を受けるのか、それを聞くのが楽しみだよ」

 2022年にデビューするGRヤリス・ラリー1のホモロゲーションが迫るなか、ラトバラは大きな決断を迫られることを認めた。

「それは私にとってもっとも難しいことのひとつになるだろう」と同代表。

「例えば、ラリー1に搭載されているデファレンシャルランプについては、ホモロゲーションを取ることができるのはひとつだけ。つまり、シーズンをとおしてひとつのランプを使用しなければならない」

「これがすべてのステージ、すべてのサーフェスに最適であることを示す充分のデータがあるだろうか? だから非常に難しい選択を迫られるんだ」

「また、テストが充分にできていない場合、シーズン後半になって間違った選択が問題となって出てくる可能性がある。それをなくすために短期間に多くのテストをしなければならいないが、それは難しいことなんだ」

TOYOTA GAZOO Racing WRTのチーム代表を務めるヤリ-マティ・ラトバラ
ハイブリッドシステムが搭載されたトヨタGRヤリス・ラリー1は2022年のWRCでデビューする

© 株式会社三栄