社説:臨時国会開幕 具体策問う論戦活発に

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 新政権発足、衆院選を経て、国会の本格的な論戦がほぼ半年ぶりに再開された。

 臨時国会がきのう召集され、岸田文雄首相が所信表明演説を行った。新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」急拡大への対応を徹底するとともに、大規模な経済対策を通して日本経済を回復軌道に乗せていく決意を示した。

 就任時の所信表明に続いて「細心、慎重に」「丁寧に」と繰り返し、強引さや説明不足を批判された前政権からの変化を改めてアピールした。

 国難を克服して「新しい時代を創り上げていこう」と呼び掛けたが、掲げる「新しい資本主義」の目指す姿や道筋は、今回の演説からも定かにうかがえなかった。

 衆院選での「信任を背に」とする岸田政権の政策の中身と実行力を問う活発な論戦を期待したい。

 岸田氏は、コロナ対応で「最悪の事態を想定」するとし、医療体制の充実やワクチン、検査、治療薬の活用推進で備えると説明した。新変異株への対応では、水際対策で一時混乱した事態を繰り返さないよう、最新の知見に基づく機動的な対応がとれるかが問われよう。

 経済回復に向けては、財政出動で過去最大の55兆7千億円の経済対策を並べた。困窮する世帯や事業者への給付金などの「手厚い支援」や、消費喚起の「GoTo事業」再開も盛り込んだ。

 18歳以下の子どもへの10万円給付事業では、所得制限の在り方やクーポン券併用に伴う事務経費の膨張を野党は問題視しており、議論になりそうだ。

 これら巨額対策は財源の6割が借金頼みだ。岸田氏は「経済あっての財政」と開き直るが、今後への重いつけを膨らませることに目を背けるのは責任ある政治とはいえまい。

 「新しい資本主義」では、全国のデジタル基盤整備による地方活性化や賃上げ税制での分配強化を成長につなげるとした。「若者世代・子育て家庭の所得増」を力説したが、社会保障の負担抑制などを課題に挙げただけだ。高齢化や一極集中など構造的要因をどう乗り越えるのか、具体性と実効性を示す必要がある。

 国会議員に支給される文書通信交通滞在費の見直しで、与野党の足並みがそろわないと法改正の先送り論が出ている。これでは信頼回復はおぼつかない。

 国民の負託に応える議論が求められる。