シーズンとは異なるチームでテストに臨む福住と大津。雨のSF鈴鹿テスト1日目で感じた手ごたえと課題

 走行1日目となる12月7日(火)はあいにくの雨模様となってしまった鈴鹿サーキットでの全日本スーパーフォーミュラ選手権合同テスト。ここでは、シーズン中にはできない試みが多数見られるのが特徴だ。チームによっては、今シーズンの体制のまま参加しているところもあれば、チーム内でマシンをスイッチしてテストに臨むところもある。そんな中、福住仁嶺と大津弘樹は、シーズン中とは異なるチームからテストに参加している。ここではふたりのドライバーにスポットを当てよう。

■福住仁嶺(ThreeBond DRAGO CORSE)

 2021年は2勝を挙げる活躍を見せ、ドライバーズランキング2位となった福住。今シーズン在籍していたDANDELION RACINGではなく、道上龍監督率いるThreeBond Drago CORSEからテストに参加している。

 今までのキャリアでは2台体制のチームから参戦することが多かった福住にとって、1台体制のThreeBond Drago CORSEから参加することが、新たな経験を積む機会となっているようだ。

「DANDELIONのクルマと比べても違うな、と思うところはいっぱいありますし、そこに対して僕がどのようにチームへフィードバックができるかというのも非常に大事になってくるテストだと捉えています。僕としても、そこは勉強のひとつだと思っていますし、良い仕事をしなければいけないという気持ちで今回のテストに臨んでいます」

「今回は比較する相手(チームメイト)がいないという点では、データを取るという点では難しいと思うことはありますけど、1台体制だと、チームのみんながそこに集中できるということを考えると、いろいろなメリットも出てきたりすると思います」

「いずれにしても、レースまでにどれだけデータを取れるかが重要です。伊与木(仁)エンジニアと一緒に組むのも初めてですし、僕自身もクルマのことも覚えていかないといけないこともあります。その中で限られた時間ですけど、自分が持っている感覚をもとに、もっと良くしていきたいです」

 非常に高い意識をもって今回のテストに臨んでいる様子の福住だが、1日目はあいにくのウエットコンディションとなってしまった。ドライコンディションが予想される2日目で、より多くのデータをフィードバックしたいと意気込んでいた。

「今日は一日中ウエットコンディションで、いきなりクルマを壊してしまっては申し訳ないという思いがありました。慎重に走りながらも、限界を探っていくという一日になりました。明日は、もっと良いコンディションで走れればと思います」

福住仁嶺(ThreeBond Drago CORSE)

■大津弘樹(DANDELION RACING)

 その福住が今季在籍したDANDELION RACINGからテストに参加しているのが、第6戦もてぎで初優勝を飾った大津だ。

 走行する時間帯によって雨量が異なり、満足に走りこむことはできない状況ではあったが、それでもクルマの挙動に細かな違いを感じる一日だったという。

「この12月のテストでは、今年やってきたことの振り返りをするという形になります。その中で、今年僕はRed Bull MUGEN Team Gohで参戦しており、このテストでは単純にクルマが違うので、違いを感じれるのかなとは思いましたけど……。今日は雨だったので、深く語れるほどの違いは感じられなかったです。でも、縁石を乗り越えた時のクルマの感じは、全然違うなと感じました」

「今日は一日雨でしたけど、自分の中では違和感なく走れましたし、比較的上位にいられたので、すごくプラスだったのかなと思います。細かな違いというのは、ドライコンディションになってみないと分からない部分もあります。明日はドライで走れそうなので、楽しみですね」

 例年、ホンダ勢はシーズンオフのテストでドライバーをシャッフルさせる動きがあり、場合によってはそれが翌シーズンの体制にリンクすることもある。そのあたりはホンダからの2022年体制発表を待たなければならないが、彼らが来季所属するチームについてはなんとも言えないのが現状。ただ、今回ふたりに関しては“あくまでもテスト”ということで、いつもとは違う試みが目的だったように感じられた。

 12月8日(水)のテスト2日目は、午前のセッションが延長され、8時30分~11時00分というスケジュールに変更された。午後は予定通り14時00分~16時00分で行われる。

大津弘樹(DANDELION RACING)
大津弘樹(DANDELION RACING)

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