ジェットジャガー|なべやかん遺産  芸人にして、日本屈指のコレクターでもある、なべやかん。 そのマニアックなコレクションを紹介する月刊『Hanada』の好評連載「なべやかん遺産」がますますパワーアップして「Hanadaプラス」にお引越し! 今回は「ジェットジャガー」!

最初は好きじゃなかったが……

ここ数日頭の中に響き渡る歌がある。

人が作ったロボットだけ~ど~、ジェットジャガー、ジェットジャガー、やったぜジャガー♪

子門真人さんが歌う『ゴジラとジェットジャガーでパンチ・パンチ・パンチ』という曲だ。『ゴジラ対メガロ』のエンディングでかかった曲が脳内で鳴り響く。

子供の頃、ジェットジャガーの事はあまり好きになれなかった。ド派手なピエロ、そんなイメージ。東映特撮ヒーローに比べてスタイルもデザインも悪いしカッコ悪いし……。

でも、そんな思いがぶっ飛んだのは、東宝撮影所内にあった特撮美術の怪獣倉庫見学をした時だった。倉庫内にあった本物のジェットジャガーを見た時、「実物で見るとかっこいい!」と独り言を発したくらいだ。

円谷プロの怪獣倉庫でウルトラマンやセブンなどを見ていたが、特美の作り物はそれらとは違った。
何が違うかというと、FRPマスクの厚み、マスク全体の重さ、作りの複雑さだ。

どちらが良い悪いというのではない。ただ映画で作られる怪獣などはテレビの怪獣と違い、お金がかかっている。ジェットジャガーも例外ではない。

目の作り、両サイドに広がるアンテナ、手作りの一点物の複雑なマスクだった。実物を見てから改めて作品を観ると、ジェットジャガーの良さが伝わり、好き度が増していった。

ここ数年、ジェットジャガー人気が高くなっている。若い世代の人気、そして昭和ゴジラファンからの人気。当時からジェットジャガーを見ていた人は、時が経つにつれて見慣れてきたこともあり、存在が当たり前になって来ているというのもあるのだろう。

多分、現体験でジェットジャガーを見た殆どの人が、最初は「え!?」って思ったに違いないけど、どんなものでも見ていれば慣れる。平成の仮面ライダーがそうだもん。新ライダー発表の時は「なんじゃこりゃ!?」って思っても、放送が始まると慣れるからね。

アメリカでも高い人気

今回のテーマはジェットジャガー

海外での人気もかなり高い。アメリカのイベントに行った時は、特にそれを実感した。特撮イベントには多くの個人ブースがあり、日本の怪獣フィギュアを扱う所には必ずと言ってもいいくらいジェットジャガーが売られていた。

殆どが日本国内で買えるバンダイのソフビだが、アメリカで発売されているソフビもあったりするので、それはつい買ってしまう。あのド派手なデザインがアメリカ人にはウケが良いのかもしれない。

東映の等身大特撮ヒーローのキカイダーやキカイダー01はハワイで大人気でキカイダーの日というのがあるくらい凄い事になってるのだ。

赤と青の派手なデザインがハワイ的と感じられたのだろう。マーベルのキャプテンアメリカ、DCのワンダーウーマンなどもド派手なデザインなので、ジェットジャガーが受け入れられてもおかしくない。

ジェットジャガーの商品は色々と出ている。古くはブルマァクのソフビ、所謂、当時モノというやつだ。
スタンダードサイズは発売されず450円サイズの大きめとミドルサイズの小さ目が発売されている。

450円サイズは持っているがM1号からスタンダードサイズを作る時に見本で貸したままにしてある。返してもらえないとかではないのでご心配なく。自ら置きっぱなしにしているだけ。

バンダイからは90年代に発売され、その後サイズが少し小さくなったムービーモンスターシリーズでよりリアルなのが発売された。そして最近もムービーモンスターシリーズから通常版とゴジラ・ストア限定バージョンも売られている。

ブルマァクのミドルサイズ
M1号のソフビは450円サイズをスタンダードサイズにした感じがして最高の出来だ。

良いジェットジャガーを安価で

個人的に好きなのはビリケン商会から発売されたジェットジャガー。初期発売のものは色彩されている。やっぱりソフビは未塗装でなく彩色された状態がいい。でも、中々そう行かない事情もあるから仕方がないのだ。

アメリカで買って来たジェットジャガーは貯金箱になっている。こちらは日本国内未発売。キャラモノ貯金箱コレクターにもおすすめ。

アニメ版のゴジラに登場したジェットジャガーもバンダイからソフビ発売されている。最初にこのデザインを見た時は怒りで体が震えたが、物語を観ていたら愛着が湧いて来た。

『ゴジラ S.P 〈シンギュラポイント〉』という作品はリアルに拘って物語が作られているが、ジェットジャガーが巨大化する段階でリアルもへったくれもない気がする。怪獣ものはファンタジーで良いのだ。

この他にも色々と発売されているが、主要な物だけ持っていれば良いのかなと思う。東京なら秋葉原、中野ブロードウェイ、大阪なら日本橋、ここらを回ると物が飽和しているのがわかる。

そして、我が家でも物が飽和状態。だから選別して買うようにしているが、この先一体どうなっていくのだろう?ジェットジャガー商品も良いのだけ発売して欲しい。

そして、大手のバンダイさんは価格を抑えて欲しい。最近はバンダイなのに高すぎ!インディーズ企業からの発売なら高くても仕方がないが、業界トップで一商品あたりの販売数が桁違いなのだから、そこは一つお願いしますよ。

バンダイさん、今後も良いジェットジャガーを安価で宜しくお願い致しますね。

93年にゴジラシリーズで発売(右)とムービーモンスターシリーズで発売されたソフビ(左)。
どちらも最近発売のムービーモンスターシリーズだが、左はゴジラ・ストア限定ムービーモンスターシリーズ・フライングジェットジャガー。
ビリケン商会のソフビはリアルタイプ。初期発売は色彩されている。
日本未発売の貯金
アニメ版のジェットジャガー。発表された時は大嫌いだったが、今は嫌いではない。

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