県議補選 五島市区 自民・清川氏が初当選 組織力で知名度不足補う

初当選を決め、支持者と握手を交わす清川氏(左)=5日午後10時16分、五島市中央町の事務所

 5日投開票が行われた長崎県議補選五島市区(定数1)は、自民新人で前五島市議の清川久義氏(55)が初当選。衆院選挑戦のため自動失職し、落選を経て県議復帰を目指した無所属前職、山田博司氏(51)を退けた。衆院選から間がなく、山田氏の早期復帰に対する反発もあり、投票率は低迷。山田氏に5連敗中だった自民の党営選挙が奏功した。両者は既に2023年春の任期満了選挙を見据えている。
 選挙戦最終日の4日、市中心部の商店街。「自分の選挙でないのに、こんなに力を入れたことはありません」。マイクを握った地元選出の谷川弥一衆院議員(長崎3区)が清川氏への支持を訴えた。告示直後に続き2度目の五島入り。過去5回の県議選(補選含む)では、党公認候補が優位とみられながら僅差で山田氏に敗れた時もあり、最終盤でも組織の引き締めを図った。
 党市議団もフル回転。島外から複数の党県連幹部や推薦した公明党の県議が応援に駆け付けた。当初、清川氏の知名度不足に気をもんでいた陣営は徐々に手応えをつかんでいった。
 一方、山田氏は落選から一夜明けた取材に「有権者の判断。真摯に受け止めたい」と静かに語った。
 10月の衆院選出馬に伴い県議を自動失職。落選から数日後に同補選への立候補を表明した。ただ自身が空けた議席に、すぐに戻ろうとすることへの批判が市民の間でくすぶり、支援者の一部も今回は距離を置いた。「いつもと比べ運動の盛り上がりに欠けた」と関係者。陣営もこうした声を意識し立候補の意義を繰り返し訴えたが、「時間が無かった」(山田氏)。
 投票率は59.56%で過去最低。2年前の前回県議選を約6ポイント、先の衆院選を約9ポイントそれぞれ下回り、結果的に組織力の強い自民に優位に働いたとの見方もある。
 5日夜、当選を決めた清川氏の事務所には大勢の支持者が集まり、清川氏は抱き合ったり、握手を交わしたりして喜びを分かち合った。だが取材には「本選(次期県議選)が1年余り後にある。今日からがスタート」と口元を引き締め、疲弊する地元経済への対策を課題に挙げた。
 山田氏も再出馬に前向きな意向を示し「支持者の皆さんと協議したい」としている。


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