社説:楽天違反疑い 企業モラルも問われる

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    優越的地位を乱用していた、との見立てである。

 公正取引委員会が、インターネット通販サイト「楽天市場」で運用されている送料無料化制度について、独占禁止法違反の疑いがあると指摘した。

 2年余り前に楽天が無料化方針を打ち出して以来、送料を負担する出店者らから、不満の声が上がっていた。

 市場を支配する「プラットフォーマー」が、弱い立場の出店者ら取引先に、不当ともいえる契約を迫るのは許されまい。

 公取委の指摘は当然であり、楽天は真摯(しんし)に受け止め、改善を急ぐべきだ。

 昨年3月から始まったこの制度は、3980円以上の購入者への送料を原則無料とする。送料は出店者が配送業者に支払うので、自ら負担するか、商品の販売価格に上乗せすることになる。

 導入後に楽天は、新たな出店契約では制度の受け入れを条件とする一方で、それ以前の出店者が従うかどうかは任意としていた。

 ところが公取委の審査では、楽天の営業担当者から、検索順位の引き下げ、退店要求、セールからの締め出しなどの可能性を示唆されていたとされる。

 こうした行為は、制度に従わない者に、圧力をかけたとみられても仕方なかろう。

 指摘を受けて楽天は、違法の疑いのある行為の禁止や苦情に対応する部署の設置などの改善策を、年内に実施する予定である。

 公取委は、違反の疑われる状況が解消されれば、処分を行わずに審査を終了する方針という。

 しかし本来ならば、違反に該当する行為の中止、再発防止措置とともに、罰金に当たる課徴金の納付などが、厳しく命令されるはずである。

 欧米の巨大プラットフォーマーを追い掛ける立場の国内企業に、手心を加えたとしたなら、公取委の審査における公正性が、揺らぎはしないのだろうか。

 今年に入って楽天グループは、中国IT大手の子会社が大株主となったため、日米両政府が経済安全保障の観点から共同で監視することになった。

 楽天モバイルは、高速大容量の第5世代(5G)移動通信システムなどの営業秘密を不正に持ち出し利用したとして、ソフトバンクに損害賠償訴訟を起こされた。

 今回の違反疑いへの対処に加えて、企業モラルの在り方についても問われそうだ。