躍進のカギはブルペンにあり パの上位3球団に共通していた「強力リリーフ陣」

ロッテ・益田直也、オリックス・平野佳寿、楽天・宋家豪(左から)【写真提供:PLM】

オリの年間最多登板は富山の51試合、救援陣の過度の負担を防いだ

オリックスが混戦を制して25年ぶりに優勝を飾った今年のパ・リーグは2位ロッテ、3位楽天を含めて救援投手の奮闘が目立った。具体的に各球団はどういった投手がリリーフとして活躍し、どのような運用がなされていたのか。Aクラス3球団の救援投手の働きを改めて振り返る。

オリックスでは山田修義、富山凌雅、タイラー・ヒギンス、平野佳寿と、40試合以上登板&防御率2点台の投手が4人。さらに、32試合登板で防御率1.77の比嘉幹貴、登板数こそやや少ないものの防御率2点台だった海田智行と吉田凌もおり、ブルペンはまさに多士済々の様相だった。特筆すべきはシーズン50試合以上登板の投手が、51試合登板の富山ただ1人だったこと。平野が故障で一時期戦線離脱した事情もあったが、同じ投手の3連投を極力避ける運用も奏功し、特定の投手に過度の負担がかかることを防いだ。

それを可能にしたのも、漆原大晟やK-鈴木の台頭、能見篤史の加入によりブルペンの層が厚くなったことにある。延長戦が開催されなかった今季の特性を考えても、救援陣の充実で簡単に負けることなく、引き分けに持ち込む試合を増やせたことは大きかった。山本由伸、宮城大弥の2枚看板を中心に、試合をつくる能力の高い先発投手陣がバトンをつなぎ、その時点でフレッシュな救援が終盤を締めくくる。そうした運用によって、過度の疲労で調子を崩す投手がほぼ存在しなかったことが優勝の原動力の一つとなったといえるだろう。

Bクラスに沈んだ鷹、西武は勝ちパターンの構築に苦しんだ

ロッテは、5年目でブレークした佐々木千隼、DeNAから移籍した国吉佑樹が防御率1点台。益田直也も8年ぶり2度目となる最多セーブのタイトルを手にした。当初は8回を任されていたフランク・ハーマンの不振と、安定した投球を続けていた唐川侑己の戦線離脱で勝ちパターンの再考を余儀なくされた。しかし、佐々木千の台頭と国吉の補強がその穴を埋め、継投策は年間を通してほぼ安定していた。さらに東妻勇輔も幅広い起用に応えながら奮闘。小野郁と田中靖洋も様々なシチュエーションで登板した。勝ちパターン以外の投手の奮闘もリーグトップの得点を記録した打線による逆転劇を呼び込むことにつながっていた。

楽天の救援防御率2.75は12球団トップだった。宋家豪、酒居知史、安樂智大が50試合以上登板&防御率2点台とフル回転の活躍。ビッグネームが揃う先発陣と、安定した勝ちパターンを揃えながら3位に終わったのは、抑えとして防御率0点台の投球を見せていた松井裕樹の戦線離脱が挙げられるだろう。、松井の離脱以降は宋家豪、酒居、安樂が代役を務めたが、その座に定着するには至らず。実績のある森原康平と福山博之も防御率2点台だったが、年間を通じて1軍に帯同することはできなかった。アラン・ブセニッツの不振も重なり、絶対的守護神の離脱をカバーしきれなかったのは確かだ。

一方、Bクラスに沈んだソフトバンクは森唯斗、西武は増田達至という実績あるクローザーが故障と不振に苦しみ、勝ちパターンの構築に苦しんだ面は否めなかった。安定したブルペンの存在は、現代野球において好成績を挙げるために欠かせないもの。今季活躍した投手たちが来季以降も継続して活躍できるか、新たな投手がリリーフとして台頭するのか。チームの安定感に直結するリリーフ投手の働きぶりに、来季以降も要注目だ。(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

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