リジェが高性能プロトタイプ『JS PX』発表。836馬力、ル・マンで3分20秒切りを謳う特別モデル

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 リジェ・オートモーティブは12月7日、特別仕様のスポーツプロトタイプカー『リジェJS PX』を発表した。フランスのコンストラクターはこのクルマについて、最高出力825hp(約836PS)を誇り、ル・マンを3分19秒でラップできると説明している。

 LMP2シャシーコンストラクターのひとつであるフランス企業のマネージングディレクターを務めるピエール・ニコレによれば、リジェは“究極のプロトタイプ”を目指してJS PXを設計したという。

 そのため、通常のスポーツカーレースに登場する可能性のある車両のように見えるが、競技用のホモローゲションを取得するようには作られていない。このクルマは、サーキットでのトラックデーやプライベートテストなど、「来て、乗って」楽しむレジャーアクティビティを顧客に提供するという、リジェの計画における一連のスペシャルエディションモデルの第一弾だ。

 リジェJS PXは今週、同社のLMP3カスタマーのひとつであるブラックファルコンが主催するテストセッションで、デモンストレーション走行を予定している。

 ヒューランド製6速シーケンシャル・ギアボックスを搭載するクルマの車重は910kg。エンジンはLMP2で採用されているギブソンのV8エンジンではなく、リジェが用意した3.8リットルV6ツインターボエンジンが載る。

 このエンジンは最高836馬力を発揮し、最高速度は346km/hに達する。理論上、ル・マン24時間サーキット(サルテ・サーキット)を3分19秒でラップすることができるという。なお、今年のル・マンでのポールタイムは、小林可夢偉が7号車トヨタGR010ハイブリッド(TOYOTA GAZOO Racing)で記録した3分23秒900だった。

 ニコレは、リジェのユーザーであったエクストリーム・スピード・モータースポーツ(ESM)が2016年から18年にかけて、リジェJS P2とJS P217ベースのニッサンDPiで、北米4大耐久レースのうち3つで成功を収めたことなどを記念して『JS PX』が開発されたと説明した。

「我々はこのクルマで、リジェJS P2が2016年のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権開幕戦デイトナ24時間をはじめ、セブリング12時間、プチ・ル・マンで総合優勝を達成したことを祝いたいと考えた」と同氏。

「私たちは1998年のフェラーリ以来、同じ年にこのハットトリックを達成した最初のコンストラクターとなった。この偉業に対して我々は何か特別なことをしなければならなかったんだ」

「そうして生まれたリジェJS PXは、私たちのサヴォアフェールとフランスの卓越した技術を統合させたものであり、究極のスポーツプロトタイプだ。そこにレギュレーションという制限ない」

2016年IMSAでの“ハットトリック”を記念して製作されたリジェJS PX
理論上のル・マン24時間サーキット(サルテ・サーキット)1周のラップは3分19秒だ

■オリビエ・プラが開発に関与

 フルカーボンベースのJS PXはABSをはじめ、トラクションコントロールや独自のエンジン・パフォーマンス・システムが搭載され、アマチュアドライバーにも適した仕様となっている。

 マシン開発には今年のIMSA DPiクラスで60号車アキュラARX-05を走らせ、2023年にはアキュラのLMDhプログラムの一端を担うことが発表されたマイヤー・シャンク・レーシングに参加したオリビエ・プラも携わった。

 プラは「836馬力ものパワーがあるので加速はとてもハードだよ。また、かなりの負荷が掛かる」と語った。

「このモデルでのリジェの目的は特別なクルマを設計することだった。正直なところ、F1カーを除けば、サーキットでこれほど速いクルマは世界にそうないと思う」

「それでいて、すべての電子機器を搭載しているためドライブは簡単なんだ。だから経験豊富なドライバーとジェントルマンドライバー、どちらにも適している。LMP1カーでル・マン24時間に出ているような感覚をトラックデーで体験できるんだ」

 リジェはJS PXを購入した顧客に「(サーキットに)到着してすぐ走れる」ようにクルマの保管と運営を行う“ターンキー・サービス”を提供する予定だ。なお、車両価格やサービスの価格は明らかにされていない。

ハイパワーでありながらABSやトラクションコントロールを備え、ジェントルマンドライバーでも扱いやすいクルマになっているという
リジェJS PXは、LMP2規定やWECのル・マン・ハイパーカー規定、IMSAのLMDhなど、レギュレーションに縛られない究極のプロトタイプカーとして開発された