多発する電車内での凶悪事件…車両に防犯カメラ設置は抑止力となるか

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。12月6日(月)放送の「FLAG NEWS」のコーナーでは、国土交通省が発表した“列車への防犯カメラ設置”について取り上げました。

◆新列車に防犯カメラ設置義務化へ

10月31日に起きた京王線刺傷事件を受け、国土交通省は新たに作る列車に防犯カメラの設置を義務付ける対策を発表。斉藤国土交通大臣は「これまで運行の安全や事故防止に力点が置かれ、防犯は必ずしも十分ではなかった。事件を教訓にし、カメラの性能や費用負担について検討する」と述べました。

また、この他の対策では手荷物検査の円滑化なども柱とされ、斉藤大臣は、手荷物検査について乗客への理解と協力を求めるとしました。そして、緊急事態での非常通報装置や非常用ドアコックの取り扱い方の表示が明確ではないとし、乗客にわかりやすい共通の表示を検討する考えも示しました。

◆防犯カメラの設置は凶悪犯罪の抑止力となるか?

作家で起業家の小幡和輝さんは昨今の凶悪事件を鑑み、「果たして(防犯)カメラで防げるのか」と疑問を呈します。「車両を燃やすような人たちがカメラの有無で(犯罪を)やめたかというとそうではない気がする。ないよりはいいが、本当に効果があるのかは疑問」と懐疑的な姿勢を見せます。

一方、NPO法人「あなたのいばしょ」理事長の大空幸星さんは、この約20年で日本の犯罪率はおよそ6割減少しているなか、減少したうちの9割は窃盗だと言い、「防犯カメラの設置で視認性が高まったことにより、周りの目があるとやりにくい犯罪は減っている」と指摘。こうした現状からも、列車内に防犯カメラを設置することで、「例えば、痴漢などの犯罪の抑止力になる」と話します。

しかし、凶悪犯罪となると別で「その背景には間違いなく"孤独”の問題もある」と主張。そして、「1人の人間が凶行に及ぶほど追い詰められる、そうした状況を作ったのが果たして個人の要因なのかというと、僕はそうではないと思う」と述べ、「そうした人たちはどこかでSOSを出しているはず。それを拾って支援に結びつけていかなくてはいけない。それはまだまだ足りない」と防犯カメラ以上に必要なものがあると訴えます。

ただ、「防犯カメラの設置も間違いなく犯罪の抑止になる」とその効果を改めて認め、並行して行っていくべきと希求。

キャスターの田中陽南は防犯カメラについて、池袋などでは防犯カメラの映像をAI(人工知能)で解析し、危険を察知しているだけに「そういった技術を電車でも活かせないか」と提起すると、「どうしてもプライバシーの問題がある」と大空さん。

実際、JR東日本が先んじて顔認証機能を搭載した防犯カメラの導入をしようとしたところ、多くの批判を受け、見直しを余儀なくされました。大空さんは「AIも進化するなか、新しい取り組みも含めて議論の必要性がある」と語る一方、小幡さんは「犯罪の抑止に繋がるのであればAIの組合せはあり」と賛成。「例えば、心拍数や体温の変化、発汗具合などで犯罪を起こす前兆がわかる技術がすでにあるのではないか」と映画の世界のようなテクノロジーに期待を寄せていました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag

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