人生初のサヨナラ弾「マジやばいっす!」 Honda熊本のルーキー4番が信頼されるワケ

サヨナラ本塁打を放った古寺を迎えるHonda熊本ナイン【写真:中戸川知世】

Honda熊本は9回表に同点に追いつかれるも4番・古寺宏輝がサヨナラ弾

試合後の会見でも、興奮を抑えられない様子だった。8日、東京ドームで行われた第92回都市対抗野球の準決勝。Honda熊本は1-1の同点で迎えた9回、4番・古寺宏輝内野手の中越えソロでセガサミーにサヨナラ勝ち。殊勲の一発を放ったルーキーは「嬉しいです!」と何度も繰り返した。人生初だというサヨナラ本塁打に「マジやばいっす!」と声を弾ませた。

痺れる投手戦。セガサミー先発の草海光貴投手をなかなか捉えられず、8回まで3安打。5回に内野ゴロの間に挙げた1点に抑えられていた。一方でHonda熊本の先発・片山雄貴投手も、安打は許すも粘りの投球で9回2死まで無失点。しかし、完封まであと1人のところで7番・中川智裕内野手に痛恨の左越えソロを被弾し、試合は土壇場で振り出しに戻った。

その裏、先頭打者として打席に立った古寺は、この回からマウンドに上がった陶久亮太投手の3球目に反応した。「なにも狙っていないです! 来た球を思いっ切り振りました!」。真ん中に来た球を無我夢中で振り抜くと、打球はバックスクリーンへ一直線に突き刺さった。

大阪桐蔭高、関東学院大を経て入社1年目の23歳

入社1年目の23歳。大阪桐蔭高3年春の選抜大会では、現楽天・早川隆久投手を擁する木更津総合高(千葉)に敗戦。自身も早川から3三振を喫した。関東学院大を経て入社したHonda熊本では、1年目から4番を任せられている。

「勝敗は責任を持つから、お前は思い切ってやれと言ってくれているので、意気に感じてフルスイングしようと思ってやっています」。頼りになる先輩たちから背中を押され、気負いすぎずに伸び伸びと自分のスイングができているという。

さらに、魅力は思い切りの良さだけではない。渡辺正健監督が古寺を4番に据えるのには、別の理由もある。「勝負強さを持っている。また、打てない時でも選球眼があるので繋ぐことができる。打てない時でも貢献できる。そういうところも評価している」と信頼を置く。

初々しさも残る23歳だが、4番としての存在感は日に日に増すばかり。黒獅子旗まであと1勝。「ここまで全員で来たので、必ず勝ちます! よろしくお願いします!」と力強く言い切った。(鉾久真大 / Masahiro Muku)

© 株式会社Creative2