東日本大震災で巨大津波に襲われた岩手県釜石市の高校生と交流してきた横浜の高校生と大学生が11日、被災地の現状とこれからを考えるセミナーを開く。会場の関内ホール(横浜市中区)と釜石をオンラインでつなぎ、それぞれが製作した映像を上映。復興とは何か、明日に向けてどう備えるかを語り合う。若者の感性を生かし、教訓を伝え続けていくことの大切さも訴えるつもりだ。
「ディスカッションに入る前のつなぎの言葉をお願い」「エンドロールが流れたら、みんなで下手側に行き、あいさつを」
1日夜、関内ホールで行われた「3.11を振り返って~あの日の話、明日の話~」のリハーサル。実行委員長で慶応大1年の小林美月さん(19)が当日の流れを説明し、他のメンバーの役割を確認した。
小林さんは思いを込める。「(震災が)起きた後にどう対応していくかが大切。その時に思い出してもらえるような場にしたい」
企画に携わるのは、公益財団法人よこはまユースの募集で集まった横浜の高校生と大学生の計15人。岩手県立釜石高校の生徒有志が結成した震災継承のグループ「夢団」のメンバーと5月からオンラインで意見交換。釜石の人々を取材したノンフィクションライター石井光太さんの助言を受けながら企画を練り、映像による交流と未来に向けた語り合いの場を設けることにした。
新型コロナウイルス禍で制約も多かったが、11月下旬に小林さんらが釜石を訪問。高校生の思いに直に触れる一方、苦難を生き抜いた大人たちにインタビューを重ね、被災地の今を学んだ。
「『心が置いていかれた』と話す人がほとんどで、自分が思っていたより深刻な状況だった。ハード面はかなり復興したけれど、精神的な面の復興は進んでいなかった」と小林さん。その一方で、「高校生や若者の地域を支える力は大きい」とも実感し、自ら語り継いでいくことへの意識も高まったという。