正月用飾りに梅の剪定枝出荷 少雨で昨季の半分以下

剪定した梅の枝「ズバイ」。正月用飾りとして出荷される(8日、和歌山県みなべ町気佐藤で)

 和歌山県のJA紀州は今季も、梅の枝を正月用の飾りとして出荷している。「ズバイ」と呼ばれる剪定(せんてい)した枝で、廃棄せずに活用するための取り組み。出荷は市場からの要望で年々増えてきたが、今季は秋の少雨で昨季の半分以下になりそうだという。

 今季も今月初めから出荷が始まった。みなべ町や印南町、田辺市龍神村、日高川町美山地域の農家計約50戸がそれぞれ地元の選果場などに持ち込み、JA紀州が関西や中京の市場に出荷している。

 JA紀州御坊営農販売センターによると、8日までにみなべと印南町では3回、龍神村と美山地域では2回農家から受け付けており、数量は計約15万本。みなべと印南町では10日にも受け付けるが、合わせても22万本ほどの見込みで、出荷が多かった昨季(約47万本)の半分以下にとどまりそうだという。例年は40万本前後で推移している。

 要因は9月から10月にかけて少雨により乾燥したことで、傷が付いたり、病気が発生したりして商品にならない枝が多かったからだという。

 みなべ町内では気佐藤の統合選果場や清川事業所で受け付けている。8日に持ち込んだ同町熊岡の硲小四郎さん(46)は「捨てるものなので有効利用し、少しでも収入になればと4年前から取り組んでいる。今年は、きれいな枝が少なく残念だが、この花でも梅の町をアピールできればと思う」と話していた。

 この取り組みは、山間部の龍神村や美山地域で続けられていたが、他府県の産地での出荷が減ったことで市場から要望があり、2015年からみなべいなみ花き部会とみなべいなみ梅部会の一部農家もするようになった。それでも足りず、16年からうめ部会が本格的に取り組み始めた。

 出荷する枝は、11月中旬から12月上旬にかけて剪定した「徒長枝(とちょうし)」。通常なら廃棄処分するが、生けていれば花をつけ、正月用の飾りや仏花などに利用できる。40センチの長さにそろえた枝を2種類の品質に分けて箱詰めし、出荷している。

 JA紀州みなべ営農販売センターの営農指導員、廣澤健仁さんは「今季は非常に悪い。露地栽培のために環境に左右され、やむを得ない面もあるが、今後はより確実に出荷できるよう努力する必要がある。産地化できればと思う」と話している。

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