大阪メトロが新型車両「400系」導入へ 「クロスシート車両」も設置 宇宙船を意識した未来的デザイン

400系車両外観デザインイメージ

Osaka Metroは2021年12月9日、中央線に新型車両「400系」と新造車両「30000A系」を導入すると発表した。「400系」は2023年4月の運行開始を予定しており、同社の新型車両導入は2011年に御堂筋線で運行を開始した30000系以来12年ぶりとなる。

400系は2025年開催予定の大阪・関西万博を契機として開発が進められてきた新型車両で、現在中央線を運行している20系車両の更新と、他路線へ転用する24系車両の置き換え用として、6両編成23本導入される。

「安全性はもとより移動手段としての新機能と高レベルの快適性を追求し、さらにデザインも『乗って楽しい』を形にしました」(Osaka Metro)

独特な外観もさることながら、1編成に1両導入される「クロスシート車両」にも注目したい。「目的地に向かって移動するワクワク感、パーソナルスペースの確保による安心感も提供する」という。

非常時に乗務員室で確認できる車内防犯カメラの設置、車両の低床化や優先座席の明確化といったバリアフリー化も踏襲した。またワイド液晶ディスプレイによる4か国語での運行案内、全車両への空気浄化装置や車内Wi-Fi設置など、様々な特徴を随所に取り入れている。車両状態の常時モニタリングや自動運転実証実験など、新たな技術開発にも取り組むという。

車両外観デザイン

400系車両前面・側面デザインイメージ

大阪・関西万博に向け、中央線を「活インフラ」の舞台・夢洲につながる未来への路線と位置付ける。車両外観は宇宙船を意識した未来的なデザインで、前面形状はガラス張りの展望形状に。利用者からの展望や自動運転の可能性を示唆し、同社が提供するアプリや大阪シティバス、オンデマンドバスなどのMaaSとの関連性も暗示させる。

ホーム可動柵時代の乗降口の明確化と、最新室内装備によるコミュニケーションをデザインテーマとし、扉に中央線の号線色であるグリーンを主体に、各車両の装備に応じた配色とした。

車両内装・デザイン

室内イメージ(左) クロスシート車両イメージ(右)

天井は落ち着いた配色に、壁面と床面はより明るく、機能に応じた多色使いの座席を配置することでモダンで快適な空間を演出する。また車内の解放感を広げるため、車内吊り広告は廃止。照明は車内デザインと調和したLEDで、車内空間を明るく快適にする。

快適性・利便性・安全性の向上

車内快適性の向上施策として、座席の背を高くすることで座り心地を向上させている。荷棚の高さは利用しやすいよう全車100ミリメートル下げた。また脱臭、除菌、PM2.5抑制、花粉やダニなどのアレル物質の抑制効果のある空気浄化装置を全車両に設置している。

車内案内装置は大型化し、全ての乗降口の上部に設置した。21.5インチのワイド液晶ディスプレイは同社の車両としては最大で、2面構成で乗り換え案内や駅設備案内などきめ細かな情報提供を行う。使用言語は「日本語」「英語」「中国語」「韓国・朝鮮語」の4か国語。

ユーティリティースペースとして、先頭車両にモバイル用電源(USB)付カウンターを設置。また全ての車両に車内Wi-Fiを導入し車内サービスの向上を図る。

安全面については全車両に乗務員室で確認できる防犯カメラを設置。各車両の扉は締まる際に荷物などが挟まった状況を想定し、扉の開閉力を一時的に弱めて容易に抜け出せるようにしている。

バリアフリーの取り組み

ホームとの段差を縮小するため、床面高さは近年の車両と同様に40ミリメートル下げている。ドア部の床には黄ラインを入れて乗降口を識別しやすくし、ドア開閉をドア上部のランプの点滅で知らせる。また開いているドアの位置を知らせる誘導鈴も設置する。

優先座席を識別しやすくするため、優先座席付近は吊革や手すりの色をオレンジに変更し、座席の色も一般座席と異なる色とした。

新技術・新仕様の採用

空調装置に学習・予測制御を導入。日常走行における車内温度、外気温度、乗車率などのデータを蓄積・活用し、車内環境に応じた最適な運転を行う。

車内装置や機器の動作情報などを常時地上設備へ送信するモニタリング機能を設け、収集した情報を分析、活用することで効率的な車両保守や更なる安全性の向上に取り組む。

2024年度に計画されている自動運転の実証実験に向け、指令所からの運行指令や情報伝達を行うデータ転送機能など各種機能を備える。

画像:Osaka Metro
記事:鉄道チャンネル(https://tetsudo-ch.com/

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