2歳女王を決める阪神ジュベナイルF(GI、芝1600m)は12日、阪神競馬場で行われる。
ファンタジーSで無傷の3連勝を飾ったウォーターナビレラ、サウジアラビアRCで牡馬相手に0秒1差の2着のステルナティーア、アルテミスSを上がり最速で勝利したサークルオブライフ、デビューからマイルを2連勝中のナミュールなどが出走する。
キャリアの浅い馬同士の一戦で実力の比較が難しく、血統というファクターがより重要となるレースであり、ここでは予想のヒントになる「血統傾向」を分析していく。
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■スピードとパワーに優れた芝マイルGI勝利実績の血
阪神芝1600mは、スタート後3コーナーあたりまで上り坂で、4コーナーから直線中盤までは下り坂になり、最後のゴール前で急坂を迎える。また、前半に上り坂があることで脚元に負担がかかりやすく、直線の下りで加速できるスピードに加え、ゴール前の急坂をこなすパワーも備えた総合力を問われる舞台設定となっている。
2016年以降の阪神ジュベナイルFの種牡馬成績は以下の通り。
このように、ダイワメジャーやクロフネなど芝マイルGI勝ちのある種牡馬が好走していることがわかる。やはり、キャリアの浅い若駒が集う芝マイルGIということもあり、スピードとパワーに優れたマイルに強い血が活きるのだろう。また、母父も含めると、6年連続で馬券内に好走している。
今年該当する馬は、以下の7頭となる。
・シークルーズ(モーリス)
・ラブリイユアアイズ(ロゴタイプ)
・キミワクイーン(ロードカナロア)
・ステルナティーア(ロードカナロア)
・サク(リオンディーズ)
・ヒノクニ(カレンブラックヒル)
・ナムラクレア(ミッキーアイル)
なかでも、注目はラブリイユアアイズ。父ロゴタイプは2歳マイルGIの朝日杯フューチュリティSを制しており、産駒もマイル適性や仕上がりの早さを継いでいると考えられ、初のマイルをこなしても不思議はないだろう。
シークルーズも、父モーリス、母父クロフネ、母ベストクルーズ(2009年阪神ジュベナイルF3着)とマイルでこその血統構成で、抽選を突破するなど運も味方にしており期待したい。
■ディープ系、キンカメ系は母系に注目
ディープインパクト産駒は直近5年で単勝オッズ10倍以内の人気に推された馬が5頭出走しているが、勝利したのは2018年のダノンファンタジーの1頭のみだった。また、ディープインパクトを父に持つ種牡馬も含めると、【1-2-1-16】勝率5.0%、複勝率20.0%、単勝回収値13、複勝回収値60とさらに成績が落ちる。
馬券内に好走した4頭の母父は、Not For Sale(ダノンファンタジー、サトノレイナス)、Storm Cat(マウレア)、Grand Slam(マルターズディオサ)といった仕上がりの早い南米や米国のパワー型の血を内包していた。つまり、ディープ系の母系にはこの性質が必須と言える。
今年該当するディープインパクト系は、以下の4頭となる。
・パーソナルハイ(ディープインパクト)
・アネゴハダ(キズナ)
・ウォーターナビレラ(シルバーステート)
・ナムラクレア(ミッキーアイル)
上位人気が想定されるウォーターナビレラは、母父にキングヘイロー(安田記念3着)がいる血統で、マイル適性は十分。この舞台をこなす下地があると判断しても良いだろう。
また、ナムラクレアの勝鞍は1200mのみとなっているものの、父ミッキーアイルはマイルGIを2勝しており、父ディープインパクト×母父Storm Cat(米国ダート血統)の組み合わせは2017年の安田記念を制したサトノアラジンや今年の安田記念を制したダノンキングリーがいるだけに、マイルGIの舞台でも力を発揮できるだろう。
続いて、キングカメハメハ系だが、2016年以降の阪神ジュベナイルF と桜花賞の成績が【1-1-2-15】と2018年桜花賞のアーモンドアイの1勝のみにとどまっている。2010~2015年のキングカメハメハ産駒の成績【2-1-1-6】と比べると代替わりをするにつれ、勢いをなくしていることがわかる。
馬券内に好走した馬は、アーモンドアイ(母フサイチパンドラは阪神ジュベナイルFで3着)、リリーノーブル(母父クロフネはNHKマイルCで1着)、アットザシーサイド(母ルミナスハーバーは阪神ジュベナイルFで3着)の3頭のみで、共通点は母系にマイルGIの実績があった。これは母系からマイル適性を補完されていることが好走の要因だろう。
今年出走予定のキングカメハメハ系は、以下の4頭。
・キミワクイーン(ロードカナロア)
・ステルナティーア(ロードカナロア)
・ベルクレスタ(ドゥラメンテ)
・サク(リオンディーズ)
父自身にマイルGI勝利のあるロードカナロア産駒のキミワクイーンとステルナティーア、リオンディーズ産駒のサクの母系は決してマイラー血統ではないが、マークは必要だろう。
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文・SPREAD編集部