自宅療養者の死亡ゼロ 東京・八王子市が第6波への備え

東京・八王子市は2021年8月に医療体制の支援拠点を立ち上げた結果、いわゆる「第5波」の期間中も病床使用率は9割以上を誇り、自宅療養者の死者はゼロだったといいます。八王子市は今、第6波に備えて着々と準備を進めています。

8月に八王子市役所の一角に設けられた「地域医療体制支援拠点」は、医師・救急救命士・保健師ら11人がチームとなって医療資源の効果的な活用を支援していました。窓口を1つにして情報を共有することで、拠点が設置される前はおよそ7割だった病床の使用率は9割以上になりました。また、八王子市では第5波の期間中に自宅療養中で亡くなった人はいませんでした。

支援拠点の設置から3カ月がたち、新規感染者の減少から市役所内にあった支援チームは機能の一部を保健所に移して解散しました。市役所に設置されたブースの規模は縮小しましたが、第6波がいつ来ても"拠点をすぐ設置できる”ように備えています。市の担当者は「第5波は災害級だったと考えているので、もしものときに素早い立ち上げをするためにある程度の形を残し、すぐに組織を立ち上げられるようにしている」と話します。当時、患者の症状がびっしりと書き込まれていたボードも今は真っ白になり、毎日行っていたウェブ会議も2週に1度の実施になりました。担当者は「重症患者を受け入れられる病院で軽症から重症まで全部受け入れると、より必要な人が入院できなくなってしまうことがある。単に情報を共有するだけでなく、同じ情報を見て同じ思いを共有していることが第6波が来たときに大事になってくるだろう」と話し、保健所や市内の医療機関が情報を共有する重要性を訴えます。

一方、活動の拠点が移った八王子市保健所では新型コロナウイルスを含む結核やO157などの感染症に対応する部署が通常の業務に戻っていました。ただ、再び電話が鳴り続ける事態も想定し、応援に来る看護師や他の部署の職員がすぐ対応できるようマニュアルを更新し、即戦力として現場に入れるように準備が進められています。警戒される第6波に向け、保健所の渡辺洋子所長は「オミクロン株の対応も、これから国や東京都で変えてくる可能性は多々ある。第5波よりも進化した形で第6波に備えていきたい」と話しています。

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