10万円給付で自治体困惑 現金?クーポン?基準見えず

和歌山県すさみ町役場

 18歳以下の1人につき現金とクーポンの計10万円相当を給付する国の事業に、和歌山県田辺・西牟婁の市町が困惑している。すさみ町は、全額を現金で支給できるようにした。現金5万円分は既に予算を確保しているが、残る5万円分についても現金での給付を見込んで1903万円を追加する補正予算案を編成。10日の町議会で可決された。

 政府は現金5万円と5万円相当のクーポンを給付する方針を決めたが、野党側から「クーポンの給付だと経費が増え、市町村の手間が非常にかかる」という批判が出ていた。岸田文雄首相は国会で「地方自治体の実情に応じて現金での対応も可能とする」と表明したが、自治体では戸惑いが広がっている。

 すさみ町は今回の補正予算案について「全額を現金で給付できるように準備をしておくということ。『クーポンでないと駄目』ということになれば、改めて予算を組み替えて対応する」と話した。

 田辺・西牟婁の他市町は、国の動向を見て対応する方針だ。

 白浜町は「情報収集に努め、なるべく早く決めたい」、上富田町は「国の指針が出たら速やかに決めたい」としている。田辺市は「国が現金給付を認める具体的な条件をまだ示していない。動向を見て判断したい」と話した。

 一方、各市町の担当者からは「クーポンだと事務作業が煩雑になる」「現金の方が住民に喜ばれるのではないか」という意見もあった。

 すさみ町と同様、3市町はいずれも、現金5万円分の予算は確保している。

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