【阪神JF/穴馬アナライズ-前編】ファンタジーS組2騎を軽視 ポイントは“マイル以上”と“牡馬相手”の実績

2歳女王決定戦・阪神ジュベナイルFは阪神芝外回りコースが新設された2006年以降、ウオッカ、ブエナビスタ、アパパネなど、多くの名牝を輩出してきた出世レース。昨年の優勝馬・ソダシは翌春の桜花賞を制し、2着のサトノレイナスは日本ダービーに参戦。3着のユーバーレーベンはオークス馬に輝いた。

しかし、そのソダシは札幌2歳S、アルテミスSと重賞を連勝するなどレース前から存在をアピールしていた馬。過去10年、無敗の女王が6頭も誕生している舞台だが、今年は一筋縄ではいきそうにない“混戦”の様相だ。

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■牡馬に圧倒されている現2歳の牝馬

混戦を裏付けるのが牡馬混合重賞における牝馬の成績。昨年は札幌2歳Sでソダシとユーバーレーベンが牝馬ワン・ツーを決め、サウジアラビアRCでインフィナイトが2着、新潟2歳Sでフラーズダルムが3着に入るなど、芝1600m以上の牡馬混合重賞で牝馬が躍動していた。

今年はここまで函館2歳S(ナムラリコリス)、小倉2歳S(ナムラクレア)の短距離戦を牝馬が制したものの、芝1600m以上の重賞ではサウジアラビアRCでステルティアーナが2着、デイリー杯2歳Sでソネットフレーズが2着まで。芝1400m以下に実績が偏ったメンバーであり、混戦ムードに拍車をかけている。

現2歳世代は新潟2歳S、デイリー杯2歳Sと重賞2連勝中のセリフォス、札幌2歳S勝ちのジオグリフ、サウジアラビアRC勝ちのコマンドライン、東京スポーツ杯2歳S勝ちのイクイノックスなど、牡馬に無敗の重賞ウイナーがずらり。タレント揃いの牡馬に、牝馬が押されている状況だ。

■マイル以上と牡馬相手の実績を重視

上位人気が予想されるウォーターナビレラだが、3戦すべてが牝馬限定戦であり、歴代の無敗女王と比較すると一枚落ちは否めない。ファンタジーSでウォーターナビレラの2着に入ったナムラクレアも同様で、小倉2歳Sで牡馬を撃破したが、マイル実績に乏しい。

2019年にダノンファンタジー、20年にレシステンシアと2歳女王が誕生したファンタジーS組だが、今年は3戦目で未勝利を勝ち上がったばかりのママコチャが3番人気3着とレースレベルにも疑問が残る。

むしろ、サウジアラビアRCでコマンドラインの2着・ステルナティーア、新馬(芝1600m)でセリフォスの2着・ベルクレスタ、新馬(芝1800m)でイクイノックスの3着・サークルオブライフと、マイル以上のレースで牡馬トップクラスに揉まれてきた牝馬に食指が動く。

以上を踏まえ、今年の阪神ジュベナイルFにおける穴馬選びのポイントは2点。

・マイル以上の実績
・牡馬相手の実績

後編(土曜17時公開予定)」では、上記のいずれかに該当する人気の盲点をピックアップする。

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著者プロフィール

山田剛(やまだつよし)●『SPREAD』編集長
元・競馬月刊誌の編集長で、現在はスポーツの未来を読みとくメディア『SPREAD』の編集長。1995年マイルCSの16番人気2着メイショウテゾロの激走に衝撃を受けて以来、穴馬予想を追求し続けている。会心の的中はキセキが制した2017年菊花賞の3連単55万9700円。

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