知事の障害福祉宣言、神奈川県議会から疑問の声相次ぐ「上から目線」「突っ込みどころ満載」

黒岩祐治知事(資料写真)

 神奈川県の黒岩祐治知事が発信した「当事者目線の障がい福祉実現宣言」を巡り、10日の県議会厚生常任委員会で、宣言の内容について疑問視する声が相次いだ。

 宣言は11月に行われた芹が谷やまゆり園(横浜市)の開所式で知事が発信。津久井やまゆり園事件を機に障害福祉の根本的な見直しと転換を誓っている。

 「あなたは障がい者であるまえに、人間です。人間だから人間らしい扱いを受けるのは当然の権利です」との文言に、自民党の牧島功氏は「尊厳のある人に対し『扱い』とは何か。実に不愉快。当事者目線ではなく上から目線だ」と批判。

 地域移行への通過型施設の意味で「施設は終(つい)の棲家(すみか)ではありません」とした部分についても、「入所者の中には出たくても出られない人がたくさんいる。こういう人にも『出て行け』ということ。当事者に寄り添っていない」と追及した。

 立憲民主党・民権クラブの寺崎雄介氏も「内容は突っ込みどころが満載。『扱い』は差別的な取り扱いも連想する」と指摘。県が当事者目線の障害者福祉を実現するための条例制定を目指す方針に触れ、「この宣言が条例の基礎となるのは不安だ」と述べた。

 県担当者は神奈川新聞社の取材に「内容は当事者との対話や現地視察を通じて練り上げてきた。修正は考えていない」と話している。

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