打撃特化型「ベストナイン」はどうなる? パは杉本&吉田正のオリコンビ席巻

オリックス・吉田正尚(左)と杉本裕太郎【写真:荒川祐史】

森友哉は捕手では群を抜くwRAAを記録

各ポジションで最も優れた選手に贈られる「ベストナイン」。投票権を持つ記者による投票で決まる賞だが、データで選ぶと、どのような面々が名を連ねるのか。守備に特化した「ゴールデン・グラブ賞」があることから、MLBの「シルバースラッガー賞」のように、打撃に特化したパ・リーグの「ベストナイン」を選んでみよう。

選出にはセイバーメトリクスの指標「wRAA」を用いた。「wRAA」はリーグの平均的な打者に比べてどれだけチームの得点を増減させたかを示す指標で、平均的な打者は0になり、優れた打者は正の値が大きくなる。セイバーメトリクスの指標などでデータ分析を行う株式会社DELTAのデータを参照し、各ポジションにおけるwRAAの上位者を「ベストナイン」とした。

パ・リーグで最も高い「wRAA」を叩き出したのは、リーグを制したオリックスの杉本裕太郎で43.6。12球団では広島の鈴木誠也、ヤクルトの村上宗隆に次ぐ3位の数値だった。これに続くのは同じくオリックスの吉田正尚外野手で37.9、柳田悠岐外野手の34.7となり、この3人が外野部門のベストナインになる。

捕手は西武の森友哉が群を抜く。wRAAは39.3という圧倒的な数字を残しており、文句なしの選出。DHでは、65試合に指名打者として出場していた日本ハムの近藤健介が25.5でトップだった。内野手は一塁がロッテのレアード、二塁が楽天の浅村栄斗、三塁は同じく楽天の茂木栄五郎がそれぞれwRAAのポジション別トップだった。

意外な結果となったのは遊撃手か。wRAAのトップはロッテの藤岡裕大内野手。遊撃では79試合に先発して打率.272をマークし、wRAAは2.1だった。パ・リーグの遊撃手といえば、西武の源田壮亮がまず名前が挙がるが、wRAAはマイナス3.7。こと打撃に特化すれば「ベストナイン」とはならなくなる。

打撃だけで見ると、また違った面々の名前があがってくる「ベストナイン」。実際の投票で決まるベストナインと、どんな違いが生まれるだろうか。(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)

データ提供:DELTA
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』も運営する。

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