IR一部デザイン修正 ホテルやMICE 長崎県、区域整備計画素案を発表

県がIR区域整備計画素案で一部変更したIRのイメージ。高層ホテル(左上)やMICE施設の形状などを修正した(県提供)

 長崎県は10日、佐世保市のハウステンボスへの誘致を目指す「カジノを含む統合型リゾート施設(IR)」の区域整備計画素案を明らかにした。今夏に示していた主要なホテルやMICE(コンベンション)施設のデザインや位置などを一部修正した。
 県議会総務委員会で説明した。県はIRの設置運営事業予定者に選んでいるオーストリア国有企業傘下の「カジノオーストリアインターナショナルジャパン」(CAIJ)と共同で計画の作成を進めており、来年4月までに国に申請。県は「来年秋から冬ごろには(国の)何らかの結論が出るのではないか」とした。
 素案によると、世界的な高級ホテルブランド「ハイアット」(米国)が入る「クリスタルタワーホテル」のデザインを、ワインのボトルとグラスがモチーフの流線形に変更。既存のホテルヨーロッパを改修する施設にはオーストリアの高級ホテル「ホテルザッハー」が参入を検討している。
 国際会議場などを含むMICE施設は「近未来への可能性を内包し、成長する細胞核」をイメージして形状をドームに変え、配置を海側から陸地側へ移す。IRとJRハウステンボス駅間の移動にはロープウエーの導入を予定している。
 敷地総面積は、早岐港のハーバー・マリーナ周辺敷地(約1ヘクタール)を加えた約32ヘクタールに修正。施設の総床面積は約55ヘクタールとなる。
 県は今後、素案への意見募集を開始。来年2月に公聴会を開き、その後の定例県議会に計画案を議案として提出する。
 総務委では、総事業費3500億円の資金調達の進ちょく状況について質問が相次いだが、県は「企業活動の機微に関わる」として従来通り答弁は差し控えた。終了後、県担当者は記者団に「(調達の)見通しは立っている」と説明した。
 このほか、市民団体が提出したIR誘致の中止を求める請願を審査し、賛成少数で不採択とした。


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