走行中の高速バス車内で乗客が心筋梗塞 人命を最優先した相鉄バス 運転手らに感謝状

感謝状を受け取る相鉄バスの(右から)若松さん、榛葉さん、今井さん=中消防署

 走行中の高速バス内で心筋梗塞を発症した乗客の救命に尽力したとして、横浜市中消防署が相鉄バス(同市西区)の社員3人に感謝状を贈った。緊急事態にあって、3人がそれぞれの持ち場で人命を最優先に連携。迅速かつ的確な判断と行動で乗客の安全確保に最善を尽くした。

 感謝状を受けたのは、運転手の今井祐弐さん(43)、運行管理者の榛葉文久さん(46)と若松伸明さん(40)。

 同消防署などによると、11月4日朝、同市旭区の会社員大野亮さん(47)は相鉄線二俣川駅のバスターミナルから羽田空港行きの高速バスに乗車した。間もなく大野さんは「胸が締め付けられるように苦しく、冷や汗が止まらない」と、体調の異変を感じ取った。

 バスは首都高速道路湾岸線を走行中だった。他の乗客を通して緊急事態を察知した今井運転手はすぐに横浜営業所(同市保土ケ谷区)に連絡。応答した安全輸送の司令塔である運行管理者の榛葉さんは、バスの走行地点を確認した上で、迷うことなく近くの大黒パーキングエリア(PA)に向かうよう指示した。

 2人の緊迫したやりとりを営業所で聴いていた若松さんは即座に119番通報。乗客の体調不良を伝え、救急隊員に大黒PAで待機してもらうよう手はずを整えた。さらに、他の乗客の移動が滞らぬよう代替バスを同PAに急行させた。

 大野さんは同PAで救急車に移された。一時、心肺停止となったが、救命態勢が整っていたために回復、現在は仕事にも復帰している。

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