ドラム式洗濯機の選び方、乾燥機能や電気代…気になる疑問に答えます

今や洗濯機の主流となりつつある「ドラム式洗濯機」。乾燥機能がついていたり、洗剤の自動計量ができたり、節水できたりと、なんだかとても便利そう!という感じがします。でも、販売にあたりメリットをうたうのは当然。実際のところはどうなんでしょう?

「乾燥機能のパワーはどのくらい?ちゃんと乾くの?」「本当に節水できるの?」「特にどの辺が便利なの?」「逆にイマイチなところは?」

そんな家電ショップやメーカーさんには聞きにくい“ドラム式洗濯機の真実”を、総合家電エンジニアの資格を持ち、ご自身も家電販売店に足繁く通っている本多宏行さんに聞いてみました。

知っておくと得するドラム式洗濯機の豆知識が盛り沢山!既に使用している人も、これから買い替えを予定している人もぜひチェックしてみてください。


そもそも縦型洗濯機と何が違うの?

一番特徴的なのは、“洗い方”の違いでしょうか。縦型洗濯機は、洗濯脱水層の底部分に据えられている羽(パルセータ)の回転によって「攪拌水流」を作り出し、洗濯物を“もみ洗い”します。空気中のゴミや食べこぼし、泥などの外部から衣類に付着する頑固な汚れを落とすのが得意な洗濯機とされています。

対して、ドラム式洗濯機は使用する水の量が縦型よりも極端に少なく、洗剤液が高い濃度を維持するため、皮脂や汗、垢など、からだから付着する汚れを落とすのが得意な洗濯機です。“洗い方”が異なる=“得意な汚れ落とし”が異なるということなのです。

ドラム式洗濯機と縦型洗濯機、比較した際のメリットは?

やはり“乾燥能力”でしょう。ヒーター方式の乾燥機能が主流な縦型洗濯機にくらべ、ドラム式洗濯機のヒートポンプ方式は、熱交換器を用いて湿気を含む冷たい空気を除湿して、温かく乾いた温風で衣服を乾燥させることができます。縦型洗濯機の乾燥能力では足元にも及ばない、圧倒的な乾燥能力を味わうことができるでしょう。

さらに、ヒーター方式の乾燥機能よりもヒートポンプ方式のほうが電気代はお得です。ヒーター方式の乾燥機能を1回使用した場合の電気代は、約60円が目安。これに対して、ヒートポンプ方式の乾燥機能を1回使用した場合の電気代は、約20円が目安とされており、乾燥機能をフル活用した場合でも、大幅な電気代削減に貢献してくれることでしょう。

また、縦型洗濯機に比べると使用する水量が極端に少ないため、水道料金を抑えることにも一役買ってくれます。

ドラム式洗濯機にもデメリットはある?

まず、価格帯が高値となること。さらに、日々のお手入れは縦型洗濯機よりも気配りが必要になることは否めません。ヒートポンプ方式の乾燥機能では避けて通れないことなのですが、温かく乾燥した温風に混じって衣類の糸くずや綿状のゴミが洗濯槽内を縦横無尽に循環するため、使うたびに各種フィルターのお手入れが必須となります。また、縦型洗濯機よりも洗浄能力は少々劣るかと思います。頑固な汚れには不向きであり、使用する水量が少ないため衣類の色移りにも細心の注意が必要になるでしょう。

ここだけはおさえておきたい、ドラム式洗濯機の選び方

以下の3点に注意して選ぶようにしましょう。

●陽光が遮られるような環境だったり、部屋干しが多い場合には、ヒートポンプ方式の乾燥機能がダンゼンおすすめです。ななめドラム式洗濯機にもヒーター方式を採用するものはあるので注意して選ぶようにしましょう。

●戸建てなど比較的広い住居をお持ちであれば、ななめドラム式洗濯機の設置に困ることも少ないかもしれませんが、ひとり暮らしや、マンション住まいは注意。買った後に「設置できない!」とならないように、予め搬入経路の問題や、設置部分の広さなどをきちんと測って選ぶようにしましょう。

●ななめドラム式洗濯機に限ったことではありませんが、洗濯と脱水の「容量」についても気を付けましょう。一般的に1日の1人あたりの洗濯物は1.5kgが目安とされています。最低でも1.5kg×家族の人数以上の容量を確保して選ぶのが◎。シーツやタオルなどのことも考えると、少々大きい容量を選択しておけば間違いないと思います。

洗えない衣類もある⁉︎正しい使い方

洗濯機全般で言えることとなりますが、皮革製品(羽毛や毛皮などの装飾がされているものを含む)やレーヨン(再生繊維の改良型とされる銅アンモニアレーヨンや改質レーヨンなどを含む)、各種加工製品(防水加工、コーティング加工、樹脂加工、エンボス加工、シワ加工など)、和服、純毛毛布、電気毛布などは洗濯も乾燥も御法度です。製品の型くずれや縮み、色落ち、風合いが悪くなるだけに留まらず、排水不良や洗濯機本体の故障原因にもつながる恐れがあるので注意しましょう。

また、衣類に表示されている情報のとおり正しく取り扱うことも重要なことです。消費者庁から案内されている洗濯表示内容には「回転ドラム式で衣類乾燥をしないでください」「タンブラー乾燥はお避けください」とまで記載されるものもあります。タンブラー乾燥とは、コインランドリーで見かけるガス方式の乾燥機が主流のもの。高温に晒しながら衣類を上から下へ叩きつけるため、デリケートな生地の衣類には攻撃性が高く、取り扱いも非常に難しいことと思います。

大事な衣類こそ、洗濯機の取扱説明書と衣類に表示される情報を照合のうえ、正しく取り扱いましょう。

お手入れ方法 定期的なお手入れで洗浄力UP!

洗濯機の性能を最大限活かすためにも、定期的なお手入れは欠かせません。怠ると「洗濯物に糸くずが付着する」「排水時間が長すぎる」「乾燥工程が完了しても衣類が生乾き」「乾燥工程時間が長すぎる」など、多数の不具合が生じます。洗濯工程や乾燥工程を終えるたび、以下のようなお手入れをすることが必要です。

・ドアガラスに付着した洗剤や水滴、汚れを柔らかい布で拭き取ります。

・ドアパッキンに付着した洗剤や水滴、糸くず、汚れを柔らかい布で拭き取ります。

・ドアパッキン裏側に付着した洗剤や水滴、糸くず、汚れを柔らかい布で拭き取ります。

・各種フィルターを取扱説明書のとおり、正しくお手入れします。

・洗剤などの自動投入機能を備える場合は自動投入タンクと自動投入経路のお手入れが必要になるので、取扱説明書のとおり正しくお手入れしましょう。

・1週間に1回を目安にカビ発生を抑制するための乾燥運転を行います。機種によっては専用の運転工程が用意されていることがありますので取扱説明書を確認してください。

・2ヶ月から3ヶ月を目安に洗濯槽を洗浄します。機種によっては専用の工程が用意されていることがありますので取扱説明書を確認してください。

ここがすごい!最新機能を紹介

洗濯機全般でいえることですが、洗剤や柔軟剤に於ける「自動投入機能」は本当に便利です。洗剤を入れすぎて衣類が色落ちしてしまうことや、溶け切らず洗濯槽に残って黒カビを発生させる原因の抑制に一役買ってくれます。もちろん、洗剤が少なすぎて衣類の汚れ落ちが悪くなることもありません。洗濯機本来の洗浄力を遺憾なく発揮させるためには、洗剤の適切な計量が必要なのですが、人の手で毎回正しく行なえるものではありません。私も「自動投入機能」を備える洗濯機を使っていますが、買い替える時期を迎えた際には、引き続き「自動投入機能」を備える洗濯機を購入します。

他には、人工知能を備える洗濯機にも注目です。数多くのセンサーが衣類の汚れ具合を検知して、標準の洗濯工程時間を短縮、あるいは延長。洗剤の種類を見分けて、水温と水硬度を計測し、洗剤量や洗濯工程時間を調整のうえ、最大限の洗浄力を引き出してくれます。スマートフォンとの連携機能を備えていれば、居住地域の気象情報に合わせて適切な洗濯モードの提案までしてくれます。

さらには、外出先からの洗濯機の運転状況の確認はもちろん、遠隔操作まで可能な洗濯機が存在します。また、メーカー各社では常に洗濯・乾燥コースの実験を行っています。その実験結果に基づき更新される洗濯コースにアップデートしておくことで、メーカー各社の最新情報と連携することも可能になっていたり、モノのインターネット「IoT」に対応できることで、それまでの洗濯機の概念をくつがえす機能が目白押しとなっていたりするので、こちらにも注目です。

洗濯物が乾きにくい季節や、部屋干しがメインなどという方には、やはり便利な、ドラム式洗濯機。機能を最大限に活かせば、日々の洗濯も楽チンになること間違いなしですね。

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