名簿流出の前町長に提供受けた元町議・・・ 候補者乱立の真鶴町長選に町民「恥ずかしい」

真鶴町役場

 真鶴町の選挙人名簿抄本を不正にコピーし、自らの町長選に使用したなどとして松本一彦前町長が辞職したことに伴う町長選が、14日告示、19日投開票される。新町長には今後、個人情報流出の再発防止策を講じ、町職員に法令順守を徹底させることが求められる。ただ、返り咲きを狙う松本氏のほか、前回町長選で敗れた元町長、名簿提供を受けた元町議ら計5人が乱立する選挙戦に、町民からは「反省しているのか」「低レベルで恥ずかしい」と冷ややかな声も聞かれる。

◆夜間に庁舎でコピー

 きっかけは10月下旬、選挙人名簿のコピー流出を報じた本紙報道。発覚後に松本氏が緊急会見を開き、自らの関与を認めた。

 松本氏によると、町町民生活課長として勤務していた2020年2月ごろ、庁舎内で保管されていた19年の県議選・県知事選で使われた名簿を夜間に複写して持ち出した。名簿には有権者約6600人分の住所や氏名などの個人情報が記載されており、松本氏は20年9月の町長選で名簿を利用し選挙はがきを送っていた。

 松本氏の指示で名簿のコピーが当時の町選挙管理委員会書記長を通じて、町議選を控える当時の現職3人に提供していたことも発覚。町議会も真相究明に向けて地方自治法98条に基づく事務検査に乗り出した。

◆発覚10日後に辞職

 松本氏は発覚から10日後に辞職。仕切り直しの選挙戦に最初に手を挙げたのは、昨年の町長選で松本氏に敗れた元町長の宇賀一章氏で「一日も早く町政を正常に戻したい」と訴えた。

 名簿を受け取っていた元町議の森敦彦氏も「自分の告発が発端となった。真相を選挙で明らかにする」と主張し出馬表明。法務団体役員の北沢晃男氏、元会社役員の大塚伸二氏も相次いで立候補を決断。さらに告示直前の今月8日、松本氏が「町民から出直しを求める声が多く寄せられた」と出馬を表明した。

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