すべての空間を学習環境に / 朝鮮の高校で デジタル・可動式教材を作成活用

朝鮮各地の学校では教育方法改善の一環として、廊下や階段などさまざまな学校空間を学習に役立つよう整備している。

ユニークな取り組みで生徒たちの知識強化に努める平壌市西城区域中新高級中学校(日本の高校にあたる)の実践を紹介する。

 視聴覚を刺激

 朝鮮の普通教育部門ではかねてより学校の廊下や階段、ホールなどの壁面に学習の手助けとなるさまざまな掲示物を飾って、児童・生徒らの学習意欲を高め、授業で学んだ知識をより強化するための空間として活用してきた。

だが学校現場では掲示物の内容が限定的で、形式においても固定化しているといった課題が長らく提起されてきた。

各科目の学習内容をプリントあるいは手書きした掲示物では、目で見て読む一方的な注入学習の範疇を超えられず、児童・生徒に対する学習評価もできないなど、一定の限界があった。

各校共通の課題に風穴を開けたのが、中新高級中学校の取り組みだ。

デジタル教材で学んだ知識を強化する(C)朝鮮新報

同校では壁面に液晶テレビを設置して掲示物をデジタル化し、さらに映像の指示に従って動かせる可動式の掲示物を作成した。視聴触覚体験で知識を強化しようとする試みだ。

この学習環境は校内各階に設置されており、現在、生徒たちが授業後にこの掲示物を利用して復習や予習に積極的に役立てている。

朝鮮語、歴史、数学、物理、生物、化学、音楽、外国語など多岐にわたる科目に対応する。液晶テレビに表示されるプログラムは、出題形式や知りたい内容を自分で選択して解説を視聴する形式などがある。

また、対戦形式のクイズを楽しむこともでき、生徒たちの向学心を大いに刺激している。

 会話力の実力判定も

 同校の新たな学習掲示物は、とりわけ外国語の会話力向上で成果を出している。朝鮮では初級中学校(日本の中学校にあたる)、高級中学校の在学中にすべての生徒たちが一つ以上の外国語を習得することが求められている。

英語の正しい発音をチェック(C)朝鮮新報

同校の外国語学習ホールには、デジタル黒板とマイクが設置されており、さまざまな音声認識プログラムと学習支援プログラムで、正確な発音と会話力の習得を手助けしてくれる。スピーキングの実力判定もしてくれる優れものだ。

また、よりリアルな状況に近い環境で会話練習を行える仮想現実(VR)や拡張現実(AR)技術を利用した空間もある。

3年生のリュ・ソヨンさんは、「楽しいし、好奇心を掻き立てられる。さまざまな状況に応じた会話力を習得することができるのが良い」と話し、同じく3年のウォン・リヨンさんは「外国語だけでなく他の科目と関連付けて学習することもできるので、会話のレベルがみるみる上達しているのがわかる」と手応えを感じている。

同校の教員たちは、新しい学習掲示物を導入したことで、生徒たちがより能動的に学び、目的意識を持って学習するようになったと一様に評価している。

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