未来照らす「灯台」に バスケB1川崎が子どもの居場所オープン 東急・武蔵小杉駅近く、コートも設置

オープンしたばかりのバスケットボールコーチでプレーを楽しむ子どもたち=川崎市中原区

 バスケットボール男子のBリーグ1部(B1)川崎ブレイブサンダースが、子どもが気軽に集える居場所づくりに取り組んでいる。川崎市中原区の武蔵小杉駅近くに11月、バスケットボールコートを備えた施設をオープン。児童らに困り事がないか見守りの役割も担う。クラブ関係者は「子どもたちの未来を照らす場所にしたい」と意欲的だ。

◆SDGs実現へ

 「シュート惜しい」「こっちにパスして」。ゴールに向かってプレーする子どもたちの、はつらつとした声が響く。武蔵小杉駅から歩いて5分ほど。ブレイブサンダースが11月11日に東急東横線の高架下に開所したのがバスケットボールステーション、通称「ザ・ライトハウス」だ。

 地域を照らす道しるべになりたいとの思いから「灯台」の名を冠した施設は、敷地約200平方メートル。気軽に体を動かせるゴール付きのコートのほか、Bリーグや本場米国の試合を観戦したり、スポーツ関連の漫画を読んだりできるスペースも。高校生以下は基本無料で利用できる。

 国連の「SDGs(持続可能な開発目標)」の達成に取り組むクラブ独自のプロジェクト「&ONE(アンドワン)」の一環に位置付けられる今回の試み。休眠預金を活用した助成事業だが、その背景には子どもたちを巡る現在進行形の社会問題がある。

◆経済格差も意識

 厚生労働省によると、全国の児童相談所が2020年度に児童虐待として対応した件数が初めて20万件を超え、統計開始以来30年連続で最多を更新。クラブはこうした状況を重視し、SDGsの目標の一つ「すべての人に健康と福祉を」を意識したという。

 クラブ担当者は「子どもたちが安心して過ごせる居場所が今求められている」と説明。グッズ販売コーナーも併設し、スタッフが常在することで見守りの体制も整えた。

 誰もがスポーツに触れ合える環境を、ホームタウンにつくりたいとの願いもある。クラブは経済的な理由で競技に打ち込めない小学生を無料でスクールに受け入れ、用具を支給する取り組みもことしスタート。担当者は「バスケをしたくてもできない子がこんなにも多いのかというのが実感。『ライトハウス』がスポーツに親しむ場にもなってほしい」とも言う。

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