『選ばれる日本』に向けて=外国人労働者受け入れを議論=JP―MIRAI公開フォーラム

講演するJICAの北岡伸一理事長

 国際協力機構などが事務局を務める「責任ある外国人労働者受入れプラットフォーム」(JP―MIRAI)が6日、公開フォーラム「『選ばれる日本』に向けて必要な取り組みを考える」を開催した。JP―MIRAIが公開した外国人労働者向けの情報ポータルサイトの紹介のほか、外国人労働者を多数雇用する企業や外国人受け入れ体制を進める地方公共団体などが参加し、パネルディスカッションを行った。
 同サイトでは外国人労働者向けの情報だけではなく、22年からトラブルについての相談提供も行う。具体的には裁判外紛争手続き(ADR)の提供だ。フォーラム内では「このADR提供は日本初」とされており、利用者のビザの種類は関係ない。このサイトを通して外国人労働者とのコミュニケーション強化を図り、彼らが抱える認知しがたい問題を分析、解決に向けた取り組みを行っていくという。
 JICAの北岡伸一理事長は「国際世論では日本の外国人受け入れ体制について批判を受けている。労働者の奪い合いになる時代を前に、外国人から選ばれる人々にならねば」と本取り組みの重要性を語った。また、スマートフォンを利用した情報収集をする外国人が多いこと、労働者に有利な情報提供が可能なことから「従来の悪徳業者を駆逐できる道具である」とし、ITを駆使した情報媒体の有益性をアピールした。
 フォーラムの第2部ではパネルディスカッションが行われ、味の素株式会社のサステナビリティ推進部の中尾洋三氏、佐賀県庁国際課の井崎和也課長、連合東京事務局の斎藤千秋事務局長、京都精華大学のウスビ・サコ学長がJP―MIRAIの役割や可能性について意見を述べ合った。
 パネルディスカッションでは外国人労働者の受け入れに関して、次の改善点が挙げられた。
①実際の現場で起こることの把握の難しさ。
②外国人住民と日本人住民の交流機会がない。
③在留資格の仕組みが複雑で企業経営者でも把握しきれない。
④無料WiFiが使用できる環境を増やす等ポータルにアクセスできる人を増やすこと。
⑤労働ルールの国ごとの違いを把握する。
⑥日本を選択したことに感謝し環境の改善に携われる機会やポストを与える。
⑦国籍のパッケージではなく個人として接する。
 これらを改善することは外国人だけでなく、日本人労働者の労働環境の改善にも繋がると見られる。ウスビ・サコ学長からは、「規定通りの給料の説明がないなど、日本人労働者も日本の労働環境に苦しんでいる」との国籍関わらず労働者を苦しめる根本的な問題があることについての指摘もあった。

 

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