近江鉄道 多賀線 電車で急曲線上ホームを出発、鈴鹿山脈と企業請願駅の車窓…ビール工場へと行く貨物列車の動きを想像

古くから「お多賀さん」として親しまれ、いま滋賀県の縁結びパワースポットとして注目が集まるのが、多賀大社。

この多賀大社へと連れて行ってくれるスローでローカルな電車が、近江鉄道 多賀線。

その距離、わずか2.5km、起点駅の高宮から終点の多賀大社までは、もと西武鉄道の電車でコトンコトンと行くこと7分 180円。

縁結びパワースポットへと誘う7分の電車旅に、ちょっとだけ“鉄視点”を加えてみると……。

まずV字ホームの高宮駅で出発までうーろうーろ!

近江鉄道 本線と多賀線の接続駅、高宮駅は、本線がまっすぐ直線。多賀線の線路は、本線からぐいっと急カーブで離れるように敷かれている。

この急カーブ上に高宮駅3番ホームがある。この急カーブ上の3番ホームに電車をとめるのがたいへんで、一時期は電車の四隅をカットしてホームにぶつからないようにしたり、ホームを改造したり……いろいろあった。

◆車両の四隅が三角形に切り取られてる近江鉄道電車、パワースポット多賀大社へ行くときにわかる理由
https://tetsudo-ch.com/12009743.html

いまは、その急曲線を改良し、多彩な近江鉄道電車が入れるようになった。

V字ホームの間には、画像↑↑↑のような待合室も。このかわいい待合室の周辺では映画「逆転裁判」や、ドラマなどの撮影にも使われたことから、ロケ地巡り好きも訪れるとか。

ちなみに画像↑↑↑の青い電車の左側には6両編成がとまれる留置線があったり、旧ホームのこんもりした盛土が残っていたりする。現在は架線も撤去されているけど、どこかノスタルジックな雰囲気……。

ゴールドに輝くブレーキハンドル、新幹線をくぐって鈴鹿山脈へ

高宮駅3番ホームで静かに待つ100形(もと西武新101系)に乗って、多賀大社前へむけて出発。

走行中は、客席から運転席がみえるってことで、ちらっとのぞいてみると……なつかしい2ハンドルタイプ。

木製の柄とゴールドに輝くブレーキハンドルが、いい。近江鉄道では、運転台にシールで貼ってある「川側」は琵琶湖方向を、「山側」は鈴鹿山脈方向をいう。

その多賀線電車の前方には、その鈴鹿山脈がみえてきて、まもなくスクリーン駅。

新幹線を下からくぐると、近江鉄道の企業請願駅

スクリーン駅という不思議な名前は、京都市に本社を構える半導体・液晶メーカーSCREENホールディングスが同社敷地内に駅設置を要望し、建設費用も負担したという経緯から。

駅前では、SCREENホールディングス彦根事業所で働く従業員たちの姿がすぐ近くにみえる。従業員だけではなく、近隣住民や観光客も利用してOKという点もおもしろい。

ここからすぐ先は、国土地理院の1985(昭和60年)の画像↓↓↓をみて想像してみて。

終点の多賀大社前駅の散歩時間はまたこんど記すとして、この1985年(昭和60年)当時は、キリンビール滋賀工場(KIRIN 滋賀工場)へと続く専用線が多賀線から分岐していた。

多賀大社前で貨物列車はスイッチバック(機回し)か

国土地理院 航空写真の左下にみえる巨大工場がキリンビール滋賀工場。そこから右上に細い直線と曲線で多賀線に接しているのが、専用線。

いまGoogleマップでこの付近をみると、そのレール跡を道路化したと想われるきれいな直線とカーブの道がみえる。

この国土地理院とGoogleマップからみると、画像↑↑↑の信号あたりで、専用線は分岐していたと想われる。

この専用線の配線からみると、キリンビール滋賀工場を出た貨物列車は、いったん多賀大社前駅へと入り、そのあとスイッチバックし(おそらく機回し)、多賀線から本線へと抜けていくルートだったか。

―――ってことで、今回も多賀大社まで着く前に、これだけ“鉄視点”な話題があった近江鉄道 多賀線。

ふた駅の盲腸線にも、いろいろ鉄分が含まれていて、尽きることがない。こんどこそ、多賀大社へ! たぶん……。

<近江鉄道で行く滋賀の旅>
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画像:鉄道チャンネル(許可を得て撮影)
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